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Question-8 ページ12

8話〜疑い〜

思えば確かに変だ。
初めて会ったあの時から、こいつは決定的に雰囲気が違った。
これだけならまだしも、その呪いの日が"今日"っていうのがおかしい。
前に事件に遭った生徒から話を聞いていたなら探索を今日にしたこともうなずけるが、本当に聞いていたかは分からない。

それに一番引っかかるのが本から出てきた"新聞の切れ端"。
あれはあいつが既に読んでいたページから落ちた。
本を読むとしたら普通邪魔になるから外に出すはずだ。

もしかして、わざと落とした?
俺に見せるために、わざと?

つじつまの合う結論を思い付いたが、あまり考えたくはない。
...いや、疑いたくはないんだ。
ただ、こうしないと説明がつかない。

あいつは俺をここに誘い出した?
それなら"その日"である今日にあいつがここを指定したのも(うなず)ける。
だとすれば、こいつは何か知っていることになる。

気を付けなければ。
ここは山裾。何が起きても不思議じゃない。

「...あのー、蕗君?」
「んっ?どうした?」
「あぁ、いや...聞こえてたならいいんだけど...

そっちは全然違う方向だよ」

「...あ」

〜20分後〜

「...大分暗くなってきたな。
時間的にはまだ明るいはずなんだが...」
「雲行きが怪しくなってきたみたいだよ。
ほら、見て」
「あー...」

随分間抜けた声が出た。

あれだけ輝いてたお日様はとっくに雲に隠れ、
今は灰色が空を支配していた。

山の天気は変わりやすいことを忘れてた。
前日から準備しといてこれかよ。

「こりゃ一雨くるな。
傘なんて持ってきちゃいないし、さっさと小屋に向かおう。
地面が整地されてないから雨が降ると進み辛くなる」
「そうだね。それに濡れたくもないし」
「そうと決まれば急がないとな。
暗くなってきたし、懐中電...えっ!?」

「...どうしたの?」

これは気のせいか...!?
望の眼が光っているように見える。

いや、これは気のせいじゃない。
昨日冗談でそんなことを考えていたが、確かにこれは現実だ。
こいつ、一体何者なんだ...!?

「いや、ちょっと聞きたいんだが...
何で眼が光ってるんだ?」
「...これは生まれつきなんだ。
そう、生まれつき...」

そう言うと望は少し落ち込んだように頭を下げた。

「...?」

おかしい。
あいつは明らかに俺をここに誘い出していた。
なのに、登るにつれてこいつは悲しそうな表情を浮かべている気がする。
明らかに演技ではない、心の底からの感情。

一体、何を抱えてるんだ...?

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淀月九葉@修業中(プロフ) - まさかの急展開… (2016年5月10日 12時) (レス) id: c123e1c9e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じかみそ | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年1月31日 17時

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