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No.4 ページ4

「威厳もクソもねぇな、もっと大人になれってんだ。俺みたいにさ?」
「そうですね」

椅子に深く腰かけ大量に溜まったまま消化されない書類を放置し、椅子をクルクルと回転させながら騒がしい机の方を見て鼻で笑う。偉そうな態度をとるが、ただの一社員に過ぎない。上司に向かってそんな態度をとっていいのかと聞かれたら、同い年なんだし別にいいだろと気にする様子も見せないだろう。むしろ、この組織に上司を慕う人間が存在するのかも怪しい所だ。そんなアットホームなのもシェーナのいい所とも言えるだろうが。

「ところで兄さん、何時になったら書類は片付きますか? 俺が手伝ってばかりで貴方は一つも手をつけていませんよね?」

非常に慣れた手付きで素早く、丁寧にデスクワークに励む姿は理想の社員そのもので、何故こんな簡単な仕事を手伝っているのか不思議になる。その整った顔で繕う笑顔は思わず綺麗だと言ってしまいそうだ。只、そんな笑顔を見るものはこの世界にあまり存在していない。影響スマイルとは違うのだ。

「やっぱ俺には向いてないんだよこんな仕事! 景司が全部やってくれよ」
「無茶言わないで下さい」

仰け反ってお手上げと言わんばかりに両手を広げ、義理の弟に投げ出す情けない兄、黒柳喑亥。そんな兄を呆れつつも見捨てること無く寄り添う弟、岸景司。幼い頃に離れても、時計の針の様に再び巡り会えた。そんな奇跡の様な必然をその身に感じて、過ぎ行く日々を楽しんでいる。

「もう仕事なんてやめて昼飯行こうぜ!」
「諦めが清々しい程に早いですね」

景司すらも思わずため息を漏らしてしまう。能天気で後先のことを考えない。放って置くといつの間にか死んでいるのではないかと考えしまう。そんな事が無いように、自分はいるというのに。

「なぁ剣士! 飯行こうぜ飯!」
「お前仕事終わってねぇだろ、やれよ。 あ、白瀬飯行こうぜ」
「うん」
「俺は!?」
「待ちますから、終わらせましょう」

いつも通りに騒がしい連中を同僚達は「またか…」と呆れつつも、嫌いではない。今日もシェーナは通常運転だ。

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作者名:掃き溜めの星 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月11日 7時

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