第102話 ページ6
喜八郎side
そんな先輩方を横目に、僕はわざと彼女の傍に行き背中を合わせた。
こうした方が楽でしょ?
そうしていると、立花先輩から顔面を掴まれた。
なんですか……゛と言おうとした時、矢羽音の音が聞こえた。
仙蔵「(喜八郎。お前に頼みがある。)」
そう言われ事情を話された。Aさんが楽になるのなら、その役割は僕が担おう。
承知の意味を込めて鋤の先を2回トントンと叩くことにした。
それから、六年生達が一年生をAさんから引き剥がし、負担にならないようにと外に出ていった。
彼女が定期検診の日を狙って、医務室に向かうようにした。
あくまで自然に彼女と接触するためだ。
そうして歩いていくと、やはりAさんは医務室におり、ちょうど外に出てきたので抱きしめることにした。
ちょうどよく僕の胸の中に収まったのが悪い。
腕の中に閉じ込めていると彼女はワタワタとして抵抗していた。
そんな姿に愛しさを感じ、そのまま彼女を連行した。
条件は全忍たま、くノ一、教員に知れ渡っているため、僕も2人以上という条件は知っていた。
だが、2人いれば彼女は甘えにくくなってしまう。そう思い、少々悪いとは思うが小松田さんを使わせてもらうことにした。
走って彼女を裏山まで連れていくと、混乱したような顔をしていた。
その時、腕におびただしく巻かれた包帯が見えた。
彼女は、一体どこまで辛い過去を背負ってきたのか、僕には想像もつかない。
喜八郎くん。と呼ばれる度に、距離を置かれているようで寂しく感じ、呼び捨てでいいと言うと、彼女は頑張って僕を喜八郎と呼んだ。
愛しさのあまり思わず顔に出てしまったらしい。
そうして本題に入ることにすると、Aさんは驚いた顔をして、段々と苦しそうな、泣きそうな顔に変わっていった。
あぁ、彼女は頼り方や甘え方を知らないのだろう。
そう思うと、苦しそうにする彼女を抱きしめる他なかった。
ただ、そばにいてあげたい。
僕がそばにいれば、そんな顔させないのに。
Aさんは大声で泣いた。
聞いたこともないくらい大きな声で、全てを吐き出すかのように泣いていた。
僕はそんな彼女を慰めることしか出来なかった。
Aさんの苦しさや辛さは僕が受け止めるから、Aさんがいなければ忍術学園のみんなは悲しいから、Aさんが好きだから。笑っていて欲しい。
僕はずっとAさんの味方で居続けると心から誓った。
その意思は決して誰も砕けるものではないだろう
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しのぶ - 夢主ちゃんが凄くかっこよくて好きです!更新を頑張ってください! (2022年12月30日 13時) (レス) @page11 id: 0ed4fa3946 (このIDを非表示/違反報告)
ホットパイ - こんにちは!! お話の内容が面白くて分かりやすいです!! 夢主ちゃん場所変わって欲しい!! これからも無理のない範囲で頑張ってください (2022年10月19日 19時) (レス) id: 1514e3e318 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - すみませんが、またお願いしていいでしょうか…?😣💧🙏今度は「予算会議見学編」とか、「忍術学園の文化祭編」っというリクエスト (2022年10月16日 19時) (レス) @page2 id: 4f4447b9aa (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 六年生の生徒達が助けに来てくれてよかったです!!心からホッとしました!!😂✨喜八郎君の猫っぽい面、可愛いかった…/////(~_~;)良い👍 (2022年10月9日 22時) (レス) @page11 id: 9f4c54b48a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 喜八郎君は夢主さんを守ることができるのかが心配です…😥でも、夢主さんが言ってる台詞と本音はよく分かります。「私と同じだ…🥲」っと思って😌 (2022年10月1日 19時) (レス) id: 73961df6ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Spring | 作成日時:2022年9月25日 1時