第100話★ ページ4
Aside
出来損ないな自分を見ないで欲しい。
弱い自分を見ないで欲しい。
どうか嫌わないで。捨てないで。
複雑な感情が色となって心を黒く塗りつぶしていく。
俺は真っ黒だ。
出来損ないで、何も出来なくて、弱くて、いらない。
喜八郎「Aさんはそうじゃないよ。」
そっと抱きしめられ、頭を撫でられた。
綺麗な顔をしていて、細身なのにも関わらずガッチリとした男の子らしい手や体に身を預けると、不思議と安心した。
喜八郎「Aさんは、僕達にとって必要な人だよ。」
ポタポタと落ちていく色が俺の黒く染った心を塗り替えていく。
あぁ、俺は必要とされていいんだ……
重く縛っていた鎖が1つ落ちた気がした。
『ぅぁあぁあ゛あ゛あぁ゛……!』
大声で泣いて、縋って、ひたすら溢れ出る涙を止めることなく声を出した。
喜八郎は何も言わずに背中をポンポンとして慰めてくれていた。
しばらく泣いた後、いざ正気に戻ってみると弱さを人に見せることは恥ずかしいもので、慌てて離れた。
『ごごご!ごめん!!喜八郎!!も、もう大丈夫だから!!』
喜八郎「おやまぁ残念。Aさんから抱きつかれるなんていいチャンスだったのになぁ〜」
そう言って、懐から手ぬぐいを出して目元を拭ってくれた。
手ぬぐい持ち歩いてるとか女子か???と思ったが、考えてみれば彼は穴掘り小僧である。
土で汚れて拭うこともあるだろう。そういう面も考えた上で持ち歩いているのだろう。
『ありがとう……その手拭い洗って返すよ。』
と言って手を差し出すと、何故か下唇を尖らせ、手ぬぐいを遠ざけられてしまった。
喜八郎「ダメですよ、これは僕がだぁいじに保管しておきますからァ〜」
『え、やめて??せめて洗って???ねぇ。聞いてる??耳ついてる???おいコラ聞け』
喜八郎「耳はついてますとも〜でもこの手拭いは僕のものなのでどうしようかは僕が決めま〜す」
優しいのはわかるが、やはり喜八郎のこの意地悪な性格にはついていけない。
喜八郎「ほらほら〜目元が真っ赤に腫れてるし、その顔で学園に帰ったら心配されちゃうんじゃない?川で冷やしてきたらどう?」
そう言われて、確かに今の顔は誰が見ても酷い顔だろう。
手ぬぐいを洗って返させてくれる訳もなく、仕方なく川に向かうことにした。
今だけ自分の身長の低さを呪った。
喜八郎「…………聞いてたんなら、今日のこと、内緒にしててくださいね〜小松田さん。」
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しのぶ - 夢主ちゃんが凄くかっこよくて好きです!更新を頑張ってください! (2022年12月30日 13時) (レス) @page11 id: 0ed4fa3946 (このIDを非表示/違反報告)
ホットパイ - こんにちは!! お話の内容が面白くて分かりやすいです!! 夢主ちゃん場所変わって欲しい!! これからも無理のない範囲で頑張ってください (2022年10月19日 19時) (レス) id: 1514e3e318 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - すみませんが、またお願いしていいでしょうか…?😣💧🙏今度は「予算会議見学編」とか、「忍術学園の文化祭編」っというリクエスト (2022年10月16日 19時) (レス) @page2 id: 4f4447b9aa (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 六年生の生徒達が助けに来てくれてよかったです!!心からホッとしました!!😂✨喜八郎君の猫っぽい面、可愛いかった…/////(~_~;)良い👍 (2022年10月9日 22時) (レス) @page11 id: 9f4c54b48a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 喜八郎君は夢主さんを守ることができるのかが心配です…😥でも、夢主さんが言ってる台詞と本音はよく分かります。「私と同じだ…🥲」っと思って😌 (2022年10月1日 19時) (レス) id: 73961df6ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Spring | 作成日時:2022年9月25日 1時