０２あなたの名前 ページ2
目が覚めた。
目の前に広がるのは橙色の空。夕方だ。
涼しいとは言えない気温だがあの地獄みたいな時と
比べたら過ごしやすいといえるだろう。
「起きたか。気分はどうだ？朔間Aサン」
隣のベンチに先程の銀髪の高校生。
「！？」
私はタオルを枕にして公園のベンチで寝てしまっていたらしい。
見覚えのないタオルはきっと彼のモノだろう。
「どうして名前…」
「持ち物に名前が書いてあったからに決まってんだろ。
…変なことはしてない。勘違いすんなよ」
少し口調が荒い人のようだ。
でも優しい。
「…ありがとうございます。気分はだいぶ良くなりました」
本調子とまではいかないが身体は軽くなっていた。
今の時間は１８時前といったところだろう。
日は沈んでいるし夜も近い。
「起きたばっかだ、すぐに動くのはやめとけ」
「…」
見ると私の鞄の横には新品の水が置かれていた。
彼に聞くと飲め、とのことだったので有難く頂戴した。
あぁ生き返る。やはり水分は大事だ。
隣のベンチに座る彼は楽譜とにらめっこしていた。
よく見るとギターが置いてある。
「…あ」
見覚えのあるギターケース。
「名前を、聞いてもいいですか？」
「……大神晃牙。夢ノ咲の２年だ」
少し間があった気がしたが彼は名乗った。
おおがみ、こうが。大神晃牙。
聞いたことあるような、ないような。
素敵な名前だ。彼にピッタリだと思う。
「私は朔間A、夢ノ咲普通科の１年です。
先輩、今日は助けてくださり本当に
ありがとうございました。」
立ち上がり鞄を持った。
日差しは強くないしこれぐらいなら大丈夫だろう。
「もう大丈夫なのか？」
「はい。先輩のおかげです」
先輩はまた何か言いたげな顔をしている。
私から聞くべきだろうか。
「…ならよかった。気を付けて帰れよ」
「ありがとうございます」
機会はこれからいくらでも訪れる。
「
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2023年8月31日 1時
