73 本当のこと ページ23
『ごめんなさい』
ごめん、ごめん、ごめんなさい。私はルナに謝り続けるしかなかった。
目覚めたら本当のことを話さなくてはならない。敬人兄がそう言った。こんな日が来るぐらい分かっていたはずなのに。覚悟して接していたはずなのに。
話すのが怖くて。目覚めないで欲しいと何処かで思っている自分がいた。それが本当に嫌だった。
『私は…普通の人間じゃ…ない…』
私は馬鹿だ。
普通になろうなんて考えるんじゃなかった。そんなの無理なのに。親友や友達、好きな人が出来て…離れていた家族が自分の元へ戻ってきてくれて。そうだ、浮かれてたんだ。
「…A?」
『!!』
意識が戻ったらしい。まだぼーっとしてるみたいだが。
『もう少し回復したら…全部説明するね』
「…授業は?」
『まだ始まってないよ』
自分のことより授業を優先するなんてルナらしい。けど…
『もう少し休んで、お願いだから』
廊下は冷える。けどもうすぐ夏だ、大丈夫…だよね。
「…Aさ、大神晃牙さんが好きなんだよね。恋愛対象として」
『は!?え!?』
いきなりすぎて声が裏返ってしまった。心臓に悪い。どうして分かったのだろうか。
「ふふ、当たり?」
『当たってる…けど…』
やっぱり?と言うとルナがクスッと笑った。私って隠し事苦手なのだろうか。自分では結構上手くやってると思っていたのだが。
「じゃあ話してもらおうかな?朔間Aさん?」
『…そうだね』
回復が早すぎ。ルナは起き上がるといつもの調子に戻っていた。
『じゃあ…これから話すことは他言無用で』
「うん」
深呼吸をする。相手の目を見て、ゆっくり話す。
『私は…普通の人間じゃない』
うん、と優しく頷いてくれた。驚かない。あの人たちは驚いてたのに。
『日光に弱い、匂いに敏感、夜行性…さっきの行動』
「吸血鬼?」
『…物心ついた時から私たちは吸血鬼だって。
本当かは分からないけど…体質を考えるとたぶん本当だと思う
兄は…それを上手く使ってアイドルをしてる。この学院で』
これは驚いたらしい。口を手で押え目を丸くし…こちらを見ている。
「それってもしかして…」
『UNDEADの朔間零とKnightsの朔間凛月。…似てるでしょ?』
「だから瀬名泉さんと大神晃牙さんと椚先生がAの名前を…」
あれは普通に怪しかった。誤魔化すのに結構無理があった。
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ミラ - 更新頑張ってください! (2020年2月23日 2時) (レス) id: b8fc8df598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年9月12日 19時