【あんスタ】吸血鬼の妹は狼に恋をする２ (ページ22)

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72 赤い血ページ22

「…さん」

…ん？

「朔間さん…！」

『！』

気づくと授業が終わっていた。みんな次の時間の用意をしている。声をかけてくれたのは隣の席の子だ。

「おはよう、朔間さん」

『…ご、ごめんなさい。ありがとう』

「大丈夫？ボーッとしてたみたいだけど…」

『うん、大丈夫』

不安そうな顔。どうやら私のことをすごく心配しているらしい。本当に大丈夫だよ。

「痛っ…」

どうやらプリントで指を切ったらしい。隣の子の指から赤い血が流れている。痛いやつだ。

赤い血

『…っ』

あ。やばい。

私は隣の子にポケットティッシュを渡し、席を立った。

「あ、朔間さん…！！」

『…』

早くここから離れないと。私は勢いよく教室を飛び出した。誰とも目を合わせないように、小走りで。私はある場所に向かった。

誰もいないことを確認すると壁にもたれ、しゃがみこんだ。ここは最近見つけた人気のない場所。今では使われていない教室ばかりで多くの生徒から忘れ去られているらしい。

『…っぶな』

あの子の血が美味しそうに見えた。これだからこの体質は…。

「A発見！」

『！？』

この声は……。

『ルナ』

私を追いかけてきたのだろう。髪がボサボサだ。

「ねぇ…どうしたの？A」

『…私に近づかないで』

「どうして？」

ダメ、こっちに来ないで。お願いだから。私が一歩下がるとルナはこちらに一歩進んで来る。

『…ルナには関係ないから。離れて』

「A、目がいつもより…」

貴女を、傷つけたく、ない。

ルナは私の目を見て心配そうに顔を覗かせた。

「具合が悪いなら保健室に…」

『いいから！！！！！』

「良くないっ！！！！！」

私は昔から無意識に行動してしまう癖があるらしい。それでいろいろ迷惑をかけていたとか。最近はましになり…考えて行動するようになったのだが…。

「いっ………！？！？」

どうやらやってしまったらしい。

一瞬、何が起こったのか分からなかった。ただ分かるのは…口の中が血の味であること。

あぁ…今、全て理解した。
ルナの首筋から血が出ている。力が抜けたらしく彼女は座り込んでそのまま倒れた。

『ご、ごめん…私……』

いきなりのことに驚いたのか意識が飛んだらしい。息はしているので生きてはいる。

『…………もしもし、敬人兄』

私は敬人兄に電話をかけた。