【あんスタ】吸血鬼の妹は狼に恋をする２ (ページ8)

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「ん～じゃあAをそのまま部屋に連れて行ってあげて？」

「なにがじゃあ、なんだよ」

そう言うと凛月兄は大神先輩を家に招いた。本当に申し訳ない…。

『先輩、私もう大丈夫ですので…』

「いいから。大人しくしとけ」

あぁ、本当にずるい。
いつもひんやりしている廊下が今日は暖かい気がした。

「あ、Aの部屋は二階に上がって左から3番目の部屋だから」

「分かった、左から3番目だな」

階段を上がる音。
先輩の肩に顔をうずめて思い切り目をつぶる。すると向かいから扉を開く音がした。

「お邪魔してます」

「こんにちは、君が大神くんだね。ごゆっくり」

父の声だ。目を開けると目が合った。ニコッと笑う父。思わず目を逸らす。

「A、部屋はここであってるか？」

『…あってます』

先輩が私の部屋の扉を開けた。身内以外を自分の部屋に入れるなんて久しぶりだ。日頃から片付けしておいてよかったと思った瞬間だった。

気がつくと私はベッドの上にいた。さっきまで先輩におんぶをしてもらっていたはずだ。起き上がり周りを見渡す。

「起きたか」

『…おはようございます』

「顔色もさっきよりは良くなったな。これ、リッチーから」

どうやら寝てしまっていたようだ。先輩が手に取ったのは変な色をした食べ物のようなもの。

『…お粥』

「これお粥なのか」

『はい』

変わった色のお粥。少し食べるのに勇気がいるが凛月兄が作ったようだし味は大丈夫だ。

「じゃあ…俺様はレオンが待ってるから帰るな」

レオン…？

『あの、レオンさんって…』

「ん？俺様の愛犬だよ、会ったことあるよな？」

はっとなる。先輩が連れていたあのわんちゃんの名前だ。
レオン…レオン…可愛い。

『…先輩、今日は本当にありがとうございました』

「礼なんていらねーよ、じゃあな」

『あの、先輩』

私は先輩を呼び止めた。なぜだか分からない。

「ん？」

何か言わなきゃ。

『玄関まで送りますね』

「おう、ありがとうな」

この家の廊下は電気をつけても気味が悪く一年中ひんやりしている。お化け屋敷のようだ。

「それじゃあ」

『はい、お気をつけて』

『…Ich mag dich.』

「ん？今何か言ったか？」

『…いえ、なにも』

__Ich mag dich.(私はあなたが好きです)