24 ピンチ、助けて! ページ24
「失礼します。」
入ってきたのは椚先生だった。私の頭は真っ白。パニック寸前だ。
「私に合わせて」
周りの人には聞こえない、とても小さな声で私にそう言った。
「椚先生!?どうしてこちらに!?」
慌てる担任。ざわめきが増すクラス。
「朔間さん、朝会の時倒れそうになっていまして…終わったあと休むよう私から指示をしたんです」
『…』
「あの…でもどうして朔間の名前を?」
まぁそうなるだろう。椚先生に視線を向ける。
「あぁ彼女、アイドル科でも有名でして。首席合格の子が普通科にいる…という話でね。少し興味があったので校長先生に聞いたんですよ」
どうやらクラスメイトも担任も納得しているらしい。助かった。
「あぁ、そういう事でしたか。俺はてっきり朔間はあの朔間零の妹だと思っていたもので…。それで椚先生とお知り合いだと」
教室の空気が凍った。
「ねぇ朔間さんって零くんと凛月くんの親戚だったりする?」
「あれ、Aってお兄さんいるんだっけ?もしかして…」
あぁ、最悪だ。これも全部担任のせいだ。
「朔間くん達ですか?あの二人に妹はいません。彼女と朔間くんは他人ですよ」
なんだ、という残念そうな声が次々に聞こえる。これで納得してくれて本当に良かった。
『あ、あの…』
「朔間さん…顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
『…え?あ…えっと…』
顔色、悪いだろうか。朝会の人混みプラス暑さで少し疲れてはいたが…。
「朔間大丈夫かー?保健室行くかー?」
『そ、その方が…ありがたい…です。』
「先生、私が連れていきますよ。アイドル科に戻るついでになってしまいますが…」
本当に何が目的なんだろうか。
「ありがとうございます、椚先生」
「いえ、体調が回復したら戻らせますね。行きますよ、朔間さん」
『…は、はい』
先程から感じる羨ましいというの視線。
教室を出てしばらく歩くと先生が立ち止まった。
「助けたわけではないですよ。天祥院くんと蓮巳くんに言われて仕方が無く…ですから」
『え?あ、ありがとう…ございます…?』
先生、それツンデレってやつですか?と言うのは冗談で。天祥院英智と敬人兄が?
またどうして…。
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冬乃(プロフ) - よっ! (2018年8月30日 18時) (レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです!あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです!続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年8月2日 0時