逃げて追って、その先は【あんスタ】 (ページ36)

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131.貴方の為のバラページ36

ここにはアイドルの他、ファンしかいない。
だったら今私の頭に手を置いてるのはファンだと考えられるけど。

でも私の知り合いは、少なくとも近くにはいない。
ということは……

恐る恐る、俯いていた頭をあげれば、そこには優しい笑みを浮かべた渉がいて。

『な、んで…!?』

渉「Amazing!!あなたの日々樹渉です…☆

……いつも応援してくれてありがとうございます!そんな貴方に、こちらのバラを、特別に差し上げましょう☆」

『え、え!?』

驚き固まる私をよそに、どこからともなく出したバラを私に押し付けるようにして。

……ていうか、こんな事していいの!?他の3人驚いてんじゃないの!?

そう思い、ステージの方へと慌てて目を向けるが、そこに3人の姿は見当たらなくて。

え、まじ、どゆこと!?

何て思っていれば、何故か3ヶ所から湧き上がる、悲鳴に似た歓声。

いや、私の周辺を入れれば4ヶ所か……て、はぁ!?!?

皆さんお分かり頂けたろうか。

そう、ステージに見当たらない彼らもまた、渉のように客席へと降りてきて。同じく観客にバラを手渡していたのだった。

渉「ふふ……英智達にはカモフラージュしてもらってるんですよ(小声)」

小さく、私の耳元で渉はそう呟いて。

それはさながら、イタズラに成功した子供のようだった。

はぁ……本当に昔から彼には驚かされてばかりだわ。

でも、

『……ありがとう。とっても嬉しい……』

渉「ふふふ、喜んでもらえたようで、こちらも嬉しいです☆

さぁ皆さんも、最後までステージをとくとご覧あれ!!」

彼は高らかにそう言って、ステージへと戻って行った。

そうして程なくして、天祥院達3人もステージへと戻って行って。

天「皆、この後も楽しんでいってね!!」

そんな天祥院の言葉と共に、fineはステージから去っていった。