逃げても逃げても追う彼ら【あんスタ】 (ページ45)

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44.世話焼き鬼さんページ45

『えっと…何で私をここに連れてきたの?』

暫く黙って2人で座っていること数分。

鬼龍くんが今更授業に戻っても遅刻は遅刻に変わりないと言うので諦める事にして。

私はここに連れてきた理由を聞くことにした。

鬼「ん?別にねぇけど」

『え“』

鬼「まぁ強いて言うなら、嬢ちゃんが辛そうな顔してたからなぁ。気分転換になるかと思って」

私を見る、優しい瞳。

仮面を付けてる私の顔なんて、早々わかるはずないのに。

でも、鬼龍くんは分かってくれた。私の心を汲み取ってくれた。

『……気付いてたんだね』

鬼「まぁな。昔はよく嬢ちゃんと喋ったりしてたからなぁ。それに、嬢ちゃんが俺のことを名前で呼ぶ時は決まって何かあった時だからなぁ」

どこか懐かしそうにそういう彼は。

鬼「言いたくねぇなら言わなくていいから。だからンな顔すんなよ。嬢ちゃんは笑ってんのが1番いいぜ」

なんて、そう言ってポンポンと私の頭を軽くなでる。

『ふふ、同い年なのに相変わらず嬢ちゃん呼びなんだね』

気付けば私は笑っていた。

さっきまであんなに後悔だらけだったのに、鬼龍くんと喋って、不思議と心が落ち着いた。

鬼「…ふっ、やっぱりAは笑顔が一番だな」

『…ありがとう、本当に』

嬢ちゃん呼びから唐突の名前呼び。

不意打ちで少しだけ頬が赤くなってしまった。

仮面があるからバレないけれど。

『ねぇ鬼龍くん、せっかくだからお話しようよ』

懐かしいこの感じがとても心地よく感じ、気づけば私はそんなことを言っていた。

鬼「そうだな。どうせ時間はあるしな」

鬼龍くんも私の意見にどうやら賛成のようで。

それから５限目が終わるまで、私達は久しぶりの話に花を咲かせたのだった。