21.世間話をしましょうか ページ22
『瀬名君も、ここに連れてきてくれて……レオ君に会わせてくれてありがとう』
レオ君から離れ、それまで様子を見ていた瀬名君に私はそう言った。
瀬「別にぃ〜。いつまでもシケたツラされてたら困るからねぇ」
瀬名君は瀬名君で相変わらずだった。けど、そんな中でも彼の優しさを感じて。
『それでもありがと』
私はもう一度そう言った。
月「でも、Aがまたセリエの格好してるの見れるとは思わなかったぞ!」
瀬「ホントだよねぇ。そこんとこは皇帝に感謝していいかもね」
あれから落ち着いた私は、彼らと共にこの練習室ーーーセナハウスなるもので世間話に花を咲かせていた。
『私自身、この格好するなんて思ってもみなかったよ』
月「それでも相変わらず似合ってるぞ☆」
『ありがと』
瀬「確かに。普段のAからは想像もつかないくらいの可愛さだよねぇ」
『うるさいよ、瀬名君』
ちょっとお黙り。
そんな思いで彼を睨みつける。
まぁ彼には全くもって通用しないが。
それでも、こんなふうにまた語れるなんて思ってもみなかった訳で。
『あの頃に戻れたみたいだなぁ…』
気づけばそう口にしていた。
壊れる前の、私が壊す前のあの頃に戻れたらーーー
もう1度過去をやり直すことができたならば、どんなにいい事か。
常にそう思っていたから。
だからそんな言葉が口についた。
瀬「確かに、あの頃みたいだねぇ」
月「だな」
2人もそんな気持ちなのだろうか。
『……さてと。じゃあ私戻るね』
月「え、もう戻るのか!?」
瀬「もうちょっとくらいゆっくりして行けば?」
立ち上がった私にそう声をかける2人。
『その言葉はありがたいけど、でも“彼ら”に会ったらまだ困るから』
彼らにあっても自分を保てるか分からない。
だからまだ、会う訳にはいかない。
このKnightsにも会えない人はいるんだから……
『今日はありがとう。会えて本当によかった』
そう言って扉を開けようとすれば、後ろからかかる声。
月「Aっ!また会えるよな!?」
『……うん、レオ君達が会いたいと望んでくれるなら』
月「……じゃあ、“また”なっ!」
私の大好きな笑顔でそういう彼。
『うん、“またね”』
私はここでようやく、アイドルである彼らにまた会おうと、そういう約束を取り付けたんだ。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年4月11日 19時