274.止まらない止められない ページ42
やはり、人の涙というのは厄介だ。一度決壊すれば、それはたやすく流れてしまう。
泣いたら迷惑かけるのに。
分かっているのに止められない。
『……』
仮面をしているとはいえ、泣き顔を見せたくない。だから私は下を向いた。
ここからじゃ、床しか見えないから。
だから、凛月君が今、どんな顔をしているのか分からない。
ただ分かることは、彼はこの場から去っていないという事だけ。
……早く止まれ。私は泣くためじゃなくて、話をするためにここに来たんだから。
そう思うのに、止まらない。止められない。
凛｢……ねぇ｣
『!』
唐突に、今まで口を開きもしなかった凛月君からそんな声が掛かった。
凛｢…本当、に?｣
彼が発したその言葉は余りにも小さな声で。いつもの彼からじゃ感じられないくらい、自信のなさそうなそんな声だった。
……驚いた、けど。
折角凛月君が話を聞く気になってくれた。
私は下を向いていた顔を上げて彼を見つめ、そしてｰｰｰ
『何で…凛月君が、そんな顔するの?』
彼は今にも泣きそうな、苦しそうな、そんな表情をして、私を見ていた。
凛｢……ねぇ、本当なの?さっき言ってたこと｣
また、彼は先程と同じような言葉を呟いた。
……きっと、これが彼との誤解を解くチャンスなんだ。
1つ、深呼吸。そして私も彼に向かって、口を開く。
『……本当だよ。私は凛月君の事が好きだよ。きっとそれは1年前から……。
零さんでも他の誰でもない、朔間凛月君、貴方が好きです』
凛｢、Aっ!｣
『うわぁ!?』
私の言葉を聞くなり、彼は勢いよく私へと飛びついてきて。
その勢いが良すぎて、私は後ろへ尻もちをついてしまう。
ｰｰｰカラン
尻もちをついた拍子に、つけていた仮面が外れ、床に転がる音がとても大きく聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 689人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日和 - 最後まで読みました！もうすっごい素敵でした！番外編も読みたいです！待ってます！ (2020年2月4日 9時) (
レス) id: 972516cad5 (このIDを非表示/違反報告)
松並ゆの(プロフ) - 日和さん» ありがとです！物語ももうクライマックス、最後までお楽しみ下さい♪ (2020年1月29日 18時) (レス) id: c69e9f8b84 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - すごく面白いです！続きがとても楽しみです！ (2020年1月29日 14時) (レス) id: 972516cad5 (このIDを非表示/違反報告)
松並ゆの(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとです!時間はかかりますが、ちゃんと更新しますのでもう少しお待ちください…♪ (2019年11月6日 22時) (レス) id: 5fc703e917 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2019年11月5日 0時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：松並ゆの | 作成日時：2019年3月8日 23時
