死にたいなって思ってた。【ハイキュー】 (ページ29)

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大人ってね、人間ってね、ページ29

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「ねえ、お姉ちゃん?私ね、及川の事が好きなの。」

「だから、お姉ちゃんは諦めてくれない?」

静まり返った病室。
目の前でニコリと笑う深雪。
その深雪を睨んでいる私。

「及川だって私と付き合った方が幸せだと思うんだけど…」

お姉ちゃんはどう思う?

って、首をちょこりと傾げてまた笑う。
違うよ。
深雪はそんなキャラじゃなかったでしょ。
もっと大人しくて、他人を優先する優しい子だったでしょ。

勝手に深雪を変えないでよ。
深雪は、深雪は。

『知ってるよ、そんな事くらい。』

全部か知ってるから、これ以上私を苦しめないで…

兄弟とか姉妹は、必ずどちらかを傷つける。
双子ならなおさら。
片方が出来るなら、誰かに絶対に比べられるんだ。

〈あの子は出来るのに〉

出来る方が下だったら、多分もっとひどいんだと思う。

〈上の子なのにこんな事も出来ないのね〉

深雪の方が、私よりもかわいいから、

〈下の子…深雪ちゃんだったかしら?あの子は可愛げがあっていいわよねー〉

〈上の子は何も出来ない!目立たなくてちょっと可哀想よね。〉

〈あなたはお姉ちゃんなんだから、妹に譲りなさい〉

そんな言葉を毎日のように聞いて生きてきた。
年下にはわからない恐怖。
中学になって、やっとこの世界の残酷さに気がついた。

人はかわいい方にしか目がないんだって。

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