選ばれし者とその妹２ (ページ8)

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Story 58 ページ8

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「皆さん！闇の魔術に対する防衛術の新しい先生を紹介いたしましょう。私です。ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章受章。それに加えて闇の力に対する防衛術連盟の名誉会員であり雑誌『週刊魔女』のチャーミング・スマイル賞五回受賞。それは置いときましょう。妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃない」

　初っ端から吹き出すのを堪えなければいけない自己紹介だったが、配布されたテストペーパーはそれ以上に笑える内容だった。

　一ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何？
　二ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は何？

　こんな質問が三ページにも渡ってずっと続いており、改めて見ても馬鹿馬鹿しいものだった。とはいえロックハート本人は至って真面目に作ったようで、答案用紙を回収した彼は問題の答えをほとんど誰も覚えていないことにやれやれと首を振っていた。だがハーマイオニーだけは安定で満点だったらしく、彼女の名をあげてグリフィンドールに十点を与えた。

　テストが終わるとロックハートは覆いのかかった大きな籠を机の上に置いた。

「さあ、気を付けて！君達はこれまでにない恐ろしい目にあうことでしょう。どうか叫ばないようにお願いしたい――こいつらが暴れるから」

　彼が布を取り払った瞬間、Aは両手で顔を覆った。ただそれは堪えきれなかった笑いを隠すためだったが。

「捕らえたばかりのピクシー小妖精だ」

　中にいたのは群青色の小さな妖精の群れで、何やら喋りまくりながら籠の中を飛び回ったり近くの生徒をからかう姿はお世辞にも恐怖の対象とは思えない。シェーマスも同じことを思ったらしく、笑いを堪えきれなかった。

「笑うのは今のうちだフィネガン君。だがピクシーは厄介で危険な小悪魔ですぞ。さあ、どう扱うかな？」

　ロックハートが籠の戸を開けた直後、面倒くさいことになりそうだと察したAは教科書を手に机の下に避難した。その判断は正しかったようで、自由になったピクシーたちは好き勝手に飛び回りながら本を破ったり、天井から下がった恐竜の骨の模型を落としたりと凄まじい破壊力を見せた。

　そして肝心のロックハートは杖を奪われた挙句、騒ぎを放ったらかして自室に逃げる有様だった。しまいにはピクシー妖精を籠に戻す作業も生徒に押し付ける始末である。ダンブルドア校長は何故彼を雇ったのか、甚だ疑問だった。

　
　