選ばれし者とその妹２ (ページ7)

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Story 57 ページ7

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　Aは駅のホームで途方に暮れていた。周りでは多数の非魔法族(マグル)が忙しなく行き交っている。時折フクロウの鳥籠に目をやる人もいるが、多くは彼女に構わず通り過ぎていく。

　彼女を棒立ちにさせているのには二つの理由があった。ひとつは九と四番の三番線へ行くための壁が通れなくなったこと、もうひとつはハリーとロンとはぐれてしまったことだ。
　何故、突然壁が通れなくなったのかは分からないがこのままここに居座っているわけにもいかない。Aは一旦キングズ・クロス駅を出ると、＂漏れ鍋＂へと向かった。

　パブに着くとAは部屋を借り、手紙を書いた。何らかの手違いで壁が塞がれたせいでホグワーツ特急に乗れなかったこと、ハリーとロンとはぐれたために二人が今どうしているかは分からないこと、最後に現在地を記載してアレスに渡した。

　飛び去っていくフクロウを見送りつつ、Aはため息をついた。ハリーとロンはどこにいるのだろうか。どうか面倒なことに巻き込まれていませんように。

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「それで、ここまで一気に移動したの？」

　チョウの問いに頷くと、他のレイブンクロー生たちも「すごい！」と声を上げた。

　フクロウ便を出してから数時間も経たぬうちにダンブルドアが現れ、Aは彼と共に一瞬でホグワーツに移動したのだった。上級生によると『姿くらまし』という高度な呪文だという。

　ちなみに『闇の魔術に対する防衛術』の担当教師はギルデロイ・ロックハートになったようで、多くの女子生徒がそのことを喜んでいた。

「でも散々だったな。壁が塞がれるなんて。そんなことがあるんだ」

　前例がないことだと知ったAはますます首を傾げる。あれは一体何だったのだろうか。

「A、このケーキ食べる？」

「うん！」

　アップル・クランブルを皿に取り分けてからAはグリフィンドールの席に視線を移したが、ハリーとロンの姿はどこにも見当たらない。ひょっとすると他の生徒に隠されているだけかもしれないが、それでも心配だった。

　歓迎会が終わり、大広間を出たところでAはスネイプに呼び止められた。ハリーとロンは空飛ぶ車で無事に学校に着いたが、車をマグルに見られてしまったこと、そして暴れ柳に傷を負わせたことでスネイプは立腹していた。

「君のほうからも忠告してやりたまえ」

　そう言って彼は去って行った。退学にならなかったことが奇跡である。