選ばれし者とその妹２ (ページ33)

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Story 83 ページ33

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　その翌日の防衛術の授業にルーピン先生の姿はなく、一体どうしたものかとざわめく中、突如窓が一斉に閉まる。靴音を響かせ、薄暗い教室を闊歩してきたのはスネイプだった。

「教科書の三九四ページを開け」

　スクリーンが下げられたのを見て、何が始まるんだろうと思いながら指定されたページを開く。そこには人狼について書かれていた。まだ習うはずではないところだ。

「先生。レッドキャップとピンキーパンクは習いましたが、夜行性の生き物はまだです」

　真っ先に発言したハーマイオニーにスネイプは「黙れ」と淡々と返し、動物もどきと人狼の見分け方を答えられる者はいるかといつものごとく生徒たちに問題を出した。

　Aとハーマイオニーが同時に手を挙げたが彼はそれを無視してため息をついた。

「誰も分からないのか？何とも嘆かわしい」

「動物もどきは自分の意思で変身しますが狼人間は違います」めげずにハーマイオニーは答える。

「満月が来て変身すると今までの自分を忘れて、友達さえも殺してしまいます。そして、同じ仲間の呼び声だけに答えます」

　すかさずマルフォイが狼の遠吠えをして茶化し、スリザリン生たちが意地の悪い笑い声をあげた。

「ご苦労、ミスター・マルフォイ。……ミス・グレンジャー、君はそうやって知ったかぶりをせずには居れないのかね」

　グリフィンドール五点減点、とスネイプは淡々と告げた。すると驚くことにここでロンが大声で抗議した。

「先生はクラスに質問を出したじゃないですか。ハーマイオニーが答えを知ってたんだ！答えてほしくないんなら、なんで質問したんですか？」

　ハーマイオニーの猫が自分のネズミを追いかけ回しているという理由でロンは彼女と喧嘩中だったが、それでも理不尽な仕打ちを黙っている彼ではなかった。思えばハーマイオニーが『穢れた血』と暴言を吐かれた時も真っ先に怒ったのはロンだった。

「スネイプ先生。教師は生徒を差別せず、平等に扱うものではないのですか？」

　Aも立ち上がる。その表情は普段とは打って変わって毅然としたものだった。
　皆が息をひそめる中、スネイプは二人に近づいて判決を言い渡した。

「処罰だ。ウィーズリー、ミス・ポッター。さらに吾輩の教え方を批判するのが再び吾輩の耳に入った暁には、君たちは非常に後悔することになるだろう」

　座れ、と彼はAの肩を掴む。再び席に着いた後もAはスネイプから目を逸らさなかった。