選ばれし者とその妹２ (ページ32)

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Story 82 ページ32

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　数日後。
　生徒たちが続々とホグズミードから帰ってくる頃、Aは考え事をしながら校内を歩いていた。数分前、彼女は湖の近くで一匹の黒い犬を目にしたのだが、家出をした夜にハリーが見たと言っていたものとその犬の特徴が一致していたことが気になっていたのだ。おまけにトレローニー先生は初日の占い学の授業で不可解なことを語った。彼女いわく『ハリーは死神犬(グリム)に取り憑かれている』。

「ハニーデュークスのお菓子屋はいろいろあっていいよ」

「ゾンコのいたずら専門店なんて面白くて」

「幽霊屋敷には行く暇がなかった」

　楽しそうな会話を聞きながら階段を上がっていると前の生徒が急に止まったのでAはもろにぶつかる羽目になる。見ると生徒たちは全員グリフィンドール生で、入り口の肖像画の前で立ち往生している。ぼんやりと歩いていたせいで違う寮に行きそうになっていたようだが、後戻りすることもできない。

　肖像画は何故か切り裂かれ、太った婦人は行方を眩ましてしまっていた。一体誰がこんなことをやったのか、そして婦人はどこへ行ってしまったのか。答えはダンブルドア校長とフィルチが来てから明らかになる。

「誰がこんなことをしたのじゃ」

　風景画の中に隠れていた婦人に校長が静かに問いかけると、彼女は震えながらこう答えた。

「悪魔のような瞳でした……名前のとおり真っ黒な魂……あいつです校長、あいつが来たんです。この城のどこかに、シリウス・ブラックが……！」

　

　その後、肖像画の修繕はフィルチに任され、生徒たちは安全のために寮ではなく大広間で一夜を過ごすこととなった。
　生徒が眠っている間に教員たちは城の至るところを探して回ったが、結局ブラックの姿を見つけることはできなかった。