選ばれし者とその妹２ (ページ17)

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Story 67 ページ17

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　大広間の扉を開けると、生徒たちの視線が一斉にAに集まった。グリフィンドール席でハリーたち三人が弾かれたように立ち上がり、それと同時にスリザリン席からドラコが思わず立ち上がりそうになるのを踏みとどまったところが見えた。普段の態度とは打って変わって、どこか気まずそうに視線を彷徨わせている。

『ドラコも君をひどく心配しておった』

　ダンブルドアから聞いた時は意外に思った。それまでドラコが自分に対してそこまで情を持っていたとは知らなかったからだ。

　三人のところに行くと真っ先にハリーに抱きしめられた。

「目が覚めてよかった……」

　もしかしたら彼も今生きてはいなかったかもしれない。ハリーだけではなく、多くの友人たちも。
　だが、もう恐怖は去った。全部終わったのだ。

　レイブンクローのテーブルに行くと何人もの生徒がAを囲んで、回復を喜んだ。泣いている寮生もいた。彼ら一人一人に言葉をかけ、Aはちらりと入口のほうを見た。ミセス・ノリスはフィルチに抱かれており、Aと目が合うと好意を示すようにゆっくりと瞬きをした。
　フィルチはすぐに目を逸らしたが、Aへの態度は他の生徒に対するものと比べて軟化しているように思えた。彼の愛猫を傷つけるくらいなら鞭で打たれたほうがマシだという言葉を覚えていたからだろう。

　それからレイブンクロー寮生たちは、ハリーとロンが二○○点ずつ点を増やしたために二年連続でグリフィンドールが優勝したことを教えてくれた。そしてロックハートが記憶を取り戻すために学校から去ったとダンブルドアが発表した時にはかなり多くの先生が生徒と一緒に歓声をあげた。

　そして学期も残り僅か。
　ルシウス・マルフォイは理事を解任され、マルフォイ家に仕えていたドビーはハリーの機転によって晴れて自由の身となった。ロックハートは最近『私は誰だ？』という著作を出したようで、機会があれば読んでみようかなとAは半ば面白がりながら思った。

「三学年は何もトラブルが起こらないといいけれど」

　Aの呟きにハリーは苦笑した。

「いつもトラブルのほうがやってくるからね」

　災難とは避けていても磁石のように引き寄せられてくるものである。そして終えたと思えば、倍になってやってくる。
　煮えたぎる毒の鍋のように。

　

　

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