選ばれし者とその妹 (ページ17)

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Story 16 ページ17

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　宴が終わってちょうどすれ違ったハリーとAは「また後でね」と互いに言って別れ、他の生徒とともにそれぞれの寮に案内された。

　レイブンクロー寮はホグワーツ城の西側にあるレイブンクロー塔の一番上にある。入口は、レイブンクロー塔の目の回るような急な螺旋階段を上った先で、古めかしい木の扉には取っ手も鍵穴もなく、鷲の形をしたブロンズのノッカーがついている。
　監督生の男の子がノックをするとノッカーの鷲の嘴が開き、歌うような声で問題を出した。

「え？」Aがきょとんとしていると隣の男子生徒が教えてくれた。

「兄さんに教えてもらったんだけど、他の三寮と違ってレイブンクローは入る際に毎回違う謎を出題するんだ。答えられなければ入れない」

「あ、ありがとう。知性が試される、ってこと……？」

「そういうこと。逆を言えば問題すら解ければ他の寮の生徒でも自由に出入りできちゃうってことでもあるね」

　話している間に監督生が無事に問題を解いて扉が開かれ、一年生がぞろぞろと後に続く。
　談話室は広い円形の部屋で、テーブルや椅子、本棚がいくつか置かれており、ドーム型の天井と濃紺の絨毯には星が描かれ、扉の反対側の壁の窪みには背の高いロウェナ・レイブンクローの白い大理石の像が建っている。壁のところどころには優雅なアーチ形の窓があり、そこからは湖や禁じられた森など、ホグワーツの校庭や周りの山々を見渡すことができた。
　レイブンクロー像の脇の扉を開けると寝室と繋がっていた。スカイブルーのビロードのカーテンがかかった四本柱の天蓋つきベッドが五つ置かれてあり、窓からは時折風の音が聞こえてきた。
　幸いなことにみんなはA同様クタクタに疲れていたので、宴の時のように質問ぜめにあうことはなかった。
　着替えてからAは既に届けられていた自分のトランクに視線を移す。何か読もうかとも思ったが結局睡魔が勝ち、ベッドに入ってそのまま眠りについた。