本気を出さないボーダー隊員【ワールドトリガー】

４２話 ページ43

「すごいよね、彼」
「ですねー、戦いたくない相手だ・・・。ん？」
「やぁ、初めまして」
「・・・・どうも」


 知らない人に声かけられた・・・。助けて、誰か。


「そんな緊張しなくて大丈夫だよ」
「・・・・・・・」
「おーい、大丈夫？」
「・・・・・まぁ」


 いや、誰？！怖い怖い。


「君AAちゃんだよね。俺は外務営業担当の唐沢だ、よろしく」
「・・・B級隊員のAです」
「うん、君は下で見ないのかい？」
「えぇ・・・・、見晴らしのいいところが空いていたもので」


 と唐沢さんとおしゃべりしている時だった。武富さんの「どあああ！！？出たあ！！」と言う声が響いた。映像に目を向けるといくつもの屋根ぶっ壊れていた。は？そして空閑くんの素早い動きで間宮隊全員緊急脱出。


『しょ・・・、衝撃の決着！！狙撃手、雨取隊員がアイビスで障害物を粉砕！！というか威力がおかしいぞ！？』


「アイビス・・・」
「あの子ね、すごいよねー、とんでもないトリオンだ」
「へぇ、トリオンが多いとああなるんですね、アイビスも」
「あぁ、・・・・君もだろ？」
「あははー、・・・・なんのことやら」
「隠さなくていいよ、上層部はもうみんな君が強いことを知っている」
「ですよね」


 大規模侵攻でバレてますからね。・・・・・バラしたくてバラしたんじゃないから！！


「どうして今まで隠していたんだい？」
「・・・・・・・」
「まぁ、無理に話さなくていいが」
「・・・・いえ、理由はただただ単純なんで」


 ホント、単純だ。・・・・仮の理由なんて。


「目立ちたくなかっただけなんで」
「え、それだけ？」
「ほかになにか？」
「あ、いや・・・・」
「まっ、なんだかもうバレてきたので変装していこうかと思います」
「無理あるんじゃないか？」
「あんがいいけるかもしれませんよ？」


 と言って私は席を立つ。ランク戦見たのでもうここに用はない。誰にも気づかれずに帰ろう。


「あれ？Aちゃんじゃーん」
「・・・チッ」
「舌打ち・・・・」


 めんどうな人に出会ってしまった。

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