本気を出さないボーダー隊員【ワールドトリガー】

３５話 ページ36

『近界民に攫われた皆さんの家族も友人も取り返しに行きます。“責任”とか言われるまでもない。当り前のことです』


その言葉の動揺が走る。それは記者たちもそうで「取り返す？」「近界民の世界に行くのか？」それは私も気になるところだ。マジで？


『・・・彼の言ったとおりだ。現在ボーダーでは連れ去られた人間の奪還計画を進めている。すでに無人機での近界民世界への渡航・往還試験は成功した』


我らがラスボス、城戸指令が言った。


『この奪還計画は今回攫われた32人だけではなく、第一次侵攻で行方不明になった400人以上の市民も対象になる。ボーダーにとって過去最大の長期プロジェクトになるだろう。我々は今まさに“戦力”を求めている。それは前線で戦う隊員であり、隊員の援護を担う職員であり、組織を支える母体となるこの都市そのものだ。従来の防衛活動、及び、奪還プロジェクトへの市民の理解と参加を期待する。以上だ』
『奪還計画の人員はどのように決めるんですか？三雲くんもそのメンバーということですか？』
『隊員から希望者を募り、その中から選定する。基本的にはA級以上の隊員、選抜試験も実施されるだろう。彼が遠征に参加できるかどうかは、単純にその条件を満たせるかどうかで決まる』


まだまだ会見は続いたが、私は聞きたいところが聞けたので満足だ。空になったお皿を返し、ショッピング続行。


「(“戦力”ねぇ、・・・・・。城戸指令にも上層部にも私が今まで本気を出してなかったことがバレたし、そろそろ・・・・)当分の間ボーダーに顔を出さなければいいのでは？」


よし、それで行こう。大規模侵攻頑張ったんだもん。しばしの休憩だよ。

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