本気を出さないボーダー隊員【ワールドトリガー】

２４話 ページ25

「わ〜すごい。やっぱりトリオン量多いわね〜」


 ニコニコして手を叩く女性。くそぅ、遊ばれてる・・・。なにが多いだ。不慣れな合成弾とかで思ったよりも消費ペース早くてやらかしたと思ってるんだこっちわ！


「(このまま逃げるか？・・・よし、そうしよう。あの女は他の人に任せよう)」
「逃がさないわよ」
「っ！！」


 地面に着地するとたくさんのトリオン兵に囲まれた。これは・・・・、ねぇ・・・。
 これはやばい状況だし、近界民に遭遇したことを報告するため、私はすぐにインカム越しで忍田さんを呼ぶが応答はない。が、反応なし。おいおーい、本部長どこいったの？


「こちらA。沢村さん」
『Aちゃん？どうしたの？』
「近界民と鉢合わせた。ピンチやばい」
『えぇ？！』


 驚く沢村さんの声、と向こう側で同様に驚いている。マジか、聞こえてたー・・・。
 私は話しながらハウンドやメテオラでトリオン兵を倒していく。


『Aと言ったか』
「(そ、その声は・・・・・)」


 まさかの城戸司令・・・・・。思わず「はいっ！！！」と声が裏返った。そして今日一の大声レベルである。・・・あっぶな。と思いながらモールモッドの刃をスコーピオンではじき、そのまま斬る。


『そちらの対応は君に任せた』
「え・・・・・」


 そ、そんな殺生な・・・・。一人で、大量のトリオン兵とあの女近界民を一人で・・・・。


「む『やってくれるな』・・・A了解」


 無理とは言わせない。と言うくらいのインカム越しから感じる圧に思わずYesと言ってしまった。うわぁー、なんてことだ・・・・。インカムを切り、敵に向き合う。


「・・・・・本気出さないとじゃん」


 ねぇみんなこの話のタイトル知ってる？「本気を出さないボーダー隊員」だよ？私はこのタイトルのまま本気を出さずにこの大規模侵攻を終わらせたかった。


「やむを得ない状況になってしまった」


 とりあえず、・・・・・。


「迅悠一、許さない」


 私の未来危険だらけじゃねーか。

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