episode67 ページ20
微かに聞こえるラッパの音で目が覚める。
ぼやける視界に映るのは見慣れぬ天井。ああ、そういえばここが新しい自室なんだっけ。治療室に比べてこの部屋は兵士たちの部屋がある棟に近いためか、起床ラッパの音が大きい。
「目、覚めちゃったな」
大きく欠伸をしながら軽く伸びをし、ベッドから降りて窓を開けた。
清々しい朝の空気を肺いっぱいに吸い込み、微かに見える朝日に照らされキラキラと光る海を眺める。
戦闘員に分類される兵士たちは今から朝の訓練なのだろうが、私たち非戦闘員はまだまだ朝食まで時間がある。
さて、どうやって時間を潰そうか。
遠くから聞こえる号令の声を聞きながらグルグルと部屋を回って思案していると、カクン、と体のバランスを崩し、慌てて近くのサイドテーブルに手を着いた。
階段の昇り降りや城下町へ行った時に強く感じたのだが、確実に体力や筋力が落ちてる。
牢で鎖に繋がれ歩くこともままならなかった影響だとは思うが、絶対にこのままではマズイ。
「……体力つけなきゃ」
寝巻きできていた白いワンピースを脱ぎ捨て、昨日支給された動きやすい技術部専用の作業着に着替える。
1番小さいとはいえ、男性用。やはり少しダボッとして大きいつなぎの袖を捲り、姿見鏡の前でくるりと回って自身の姿を確認すると、左腕に縫い付けられているこの国のエンブレムをそっとなぞりながら、「よし」と小さく声を出した。
初めは歩いて体力をつけて、何日かして慣れてきたらランニングに移ろう。
まだ寝ているであろう非戦闘員の幹部たちが起きないように、そっと扉を開けて廊下に出る。
さて、どこを歩こう。
そう思いながらふらふらと城内を静かに歩いていると、たくさんの金属資材を抱えた誰かがフラフラと現れた。
よくよく見てみると、その人物は私と同じ技術部の作業着を着ていた。
フラフラ……フラフラ……今にも倒れそうな覚束無い足取りに私は思わず声をかけた。
「おはようございます。手伝いましょうか？」
「ん？ああ、ありが……と…」
途切れる言葉。
そんな人物の……いや、彼の顔を見て私は目を見開く。綺麗な顔立ちをしたその彼は青年……というよりかは、12前後の若い少年に近い風貌をしていた。
子供が、何故軍に……？
そう首を捻っていると、驚くように見開かれていた目を少年はスッと細め、憎たらしい、と言いたげに鋭く私を睨んできた。一体何故？
「お前か、ロシフ国から来た女ってのは」
‥
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
