episode68 ページ21
憎たらしげに呟かれた棘のある言葉に思わずぴくりと眉が動く。
ああ…なるほど、この子が例の反対派か。
褐色の彼の言葉を思い出しながら、そんなことを考える。
いや、これが普通なんだ。この子の反応が正しい。
他国の見知らぬ女。そんな奴がいきなりトップだなんて言われて、受け入れる方が稀なんだ。
今も尚鋭く睨みつける少年に、私はスッと軽く頭を下げた。
「初めまして、A・カラシニコフです。至らぬ所が多々あるとは思いますが、よろしくお願いします」
返されるのは無言。
私は肩を竦めて顔を上げた。まあ予想はできていた。
少年は口をへの字に曲げてギラギラと蒼眼を輝かせながら更に眉間の皺を深くした。
「よろしくするつもりなんてないし、俺は絶対ぇアンタを認めねぇ」
唾を吐くように言葉を吐き捨てると、少年は怒りを表すようにドスドスと床を荒く踏み締めながら去っていった。
多分これから毎日顔を合わせるようになると思うのだが、初っ端からこれだと些か……いや、結構不安だな。
これからやるべき沢山の事に追加された“人間関係”という新たな問題。
またもや胃がキリキリと痛みだし思わず重い溜め息を吐いた。
「くそぉ…やることが多すぎる……」
「なんや早速悩み事でもあるん？」
「悩み事というかなんと言うか……って、へ？」
誰もいないはずの静かな廊下に響く私以外の声。思わずギギギと首を後ろに向けると……
え、誰もいない？
正面、後ろ、と交互にそれぞれ目をもう一度向けてみるも人の影すら見当たらない。
「気の、せい……？」
疲れてるのかな。そんなことを思いながら目頭を抑えて揉んでいると…
「ばあｯ！！」
「わああぁぁｯｯ！！？！」
「おわ、ちょ…しずかに、しーｯ、しーｯ！」
「もがっ」
現れたのはゾム。
久々に腹から出した絶叫にゾムは目をまん丸にして驚き、慌てて私の口を手で塞いだ。デジャブ。
天井からいきなり真っ逆さまに人が落ちてきたら誰でも叫ぶよ絶対。
一瞬止まった心臓が急速に動き出し暴れまくる。ドキドキと五月蝿い心臓を手で抑えながらどうにか落ち着かせた。ゾムもどうやら私の声に驚いたようで、同じように心臓に手を当てて冷や汗をかいていた。
zm「し、死ぬかと思った…」
「私の方が死にかけたよ」
何故か私より顔面蒼白のゾム。どうやら彼は私よりビビりなようだ。
冷や汗をダラダラと流す様子を目にした私は思わず、ぷッと吹き出してしまった。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
