episode66 ページ19
Aとひとらんが扉の奥へと消えるのを確認し、ふーと重く息を吐く。あかん…なんかむしゃくしゃする。
先程寝惚けたAから吐き出された名前、多分女性の名前だろう。俺が孤児院を出た後に出会った人物なのだろうか、随分と親しい間柄なのかもしれない。
rb「なんや、ご機嫌ななめやな」
そう言って現れたのは酒瓶を片手に珍しく面布を外して素顔を晒すロボロ。彼は桃色の瞳を細めて「んふ」と笑いながら、先程Aが座っていた椅子へと腰を下ろした。
俺はそんなロボロの問いを鼻で笑い「いつも通りやで」と答えてグラスを満たす彼女の瞳と同じ色のワインを体に流し込む。
rb「あんさんそんな酒強くあらへんやろ。程々にしとかんと明日辛いで」
tn「自分の限界ぐらい分かっとるわ」
rb「はいはい」
適当に聞き流すロボロにイラッとするも、俺は構わず残りの赤をグイッと煽った。
そんな俺をじーっと見つめるロボロ。ほんまなんなんやコイツ。
じっと見つめる桃色の瞳に耐えきれなくなり「なんや」と声をかけると彼は肩を竦め「ほんま機嫌悪い時のトントンって分かりやすいよな」と笑った。
rb「タミーラっちゅうのは、Aちゃんの親友。彼女がAちゃんをロシフ国の軍に引き抜いたんや」
tn「軍……に？」
rb「まあチーノからの又聞きやから詳しく事は知らんけど、軍学校時代からずっとそのタミーラちゃんがAちゃんを支えとったみたいで、牢に入れられている時も見張りの目を盗んで世話しとったみたいやで」
tn「…なるほどなぁ」
俺が孤児院を出てから、ちゃんとAもAで信頼出来る仲間を作っとったんやな。
Aは一人じゃなかった。
その事実にホッとする。けど、心のどこかで寂しいと思っている俺もいる。
rb「トントンには悪いけど、Aちゃんの中での絶対一位はタミーラちゃんやで」
tn「……せやろな。Aにとって俺は過去の人だったやろうし」
俺の言葉にロボロは肯定するでも否定するでも無く腕を組み口を噤む。少し目を閉じて考える素振りを見せ、ロボロは遠くを見つめながら優しい声で俺へ話しかける。
rb「この国の方針は来る者拒まず去るもの追わず。俺らも努力するけど、トントンも手放さんようちゃんとするんやで」
tn「………」
rb「Aちゃんはトントンの最後の希望なんや。やから……絶対離さんとって」
震える声で懇願するように小さく零れた彼の言葉に、俺はただただ頷くことしか出来なかった。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
