第三話 ネモエリア ページ19
広がる血溜まりには細い三日月が映り込み、肌寒い夜風に生魚の匂いが混ざる。大地に降り立ったハインは能力を解くと、その匂いに顔を顰め、自分が風上になるように風を流した。亡骸から漂う生臭さはサラリと吹き消され、黒土と青草の香りが潮風に乗る。
不慣れな戦闘に勝利を収めたハインは、そう言えば…と思い出したように歩き始める。マストのなくなった船に乗り込んで食堂を覗くと、冷めて艶の出ているタルトに迷いなく包丁を入れた。
一仕事後のご褒美として大きめに切ったタルトには、熱いコーヒーが欲しくなるものだ。そんなわけで勝手にキッチンを借り、コーヒーを一杯淹れたハインはテントへ戻ると、大草原と満天の星を満喫しつつのティータイムを始める。海王類の亡骸には背を向け、涼しい夜風に吹かれながらの一休憩だ。
シャリシャリと良い食感の残るリンゴのコンポートに、バニラの風味が強いカスタード。サクサクとしたタルト生地は香ばしく、そして何より上品に甘い。中々に美味しいりんごタルトに満足したハインは、ランタンに火を灯し直すと短剣を取り出した。
さて。
能力者は海に対して妙な勘を発揮する。
この妙な勘とやらを器用にも、海楼石に対して発動させる者もいる。例えばドフラミンゴは浜に打ち上げられた海賊の遺体から異鉄の一欠片を回収したし、ハインは地下空間から逃げる間際、妙な短剣を反射的に手に取った。そしてルーキー達は海楼石製の武器を察知し、瞬発的に避ける妙技をよく見せるらしい。中には鈍い者もいるが、平均すると並よりは鋭い勘を持っている。
だからハインも、これに気を取られたのかもしれない。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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