第三話 ネモエリア ページ17
地を這う相手に対し、ハインのような飛行系能力者は圧倒的に優位である。
しかも蛾の目の腰布のような、遠距離攻撃ができる能力や武器を持っていれば更に優位だ。高みの見物でも良し、一方的に攻撃しても良しと言う好条件なら、おそらく…多分…きっと、非戦闘員のハインにも海王類の討伐は可能だろう。蛾の目の風によるカマイタチはマスト程度断ち切れる鋭さを備え持っているし、果てまで広がる大草原であれば民間人を巻き込む心配もない。問題としては海王類の強度がどれほどか、だ。なにせ常識外れの硬度を誇る鱗や、俊敏性、スタミナ等々、様々な点がおかしい生物である。好条件下でも倒しきれるとは限らない。
欲張ってみて、勝てなさそうなら飛んで撤退すればいい。
そう思ってハインは髪を耳に掛けながら風を操り、無数のカマイタチを海王類目掛けて放った。降り注ぐカマイタチは若草を刈り取り大地を切り込み、その青臭さと、黒土の湿っぽい香りは潮風に乗って広く漂う。対する海王類はカマイタチを一切避けず、鬱陶しそうな唸り声を鳴らしながら受けきった。執拗なまでの敵意で空を睨みつけて海に戻ろうともせず、耳障りな咆哮を轟かせる。
ハインは海王類を見下して、瑠璃の目をスッと薄めた。再度整えられた風は横殴りに吹き荒れ、一瞬にしてハインの飛行速度を格段に高める。視界の悪い時間帯も味方して、難なく海王類の視界から逃れた彼女は、海王類の脳天目掛けて無数の空気砲を撃ち込んだ。空気が圧縮されたそれは、海王類の頭部に着弾し、風船が破裂するような音を出した。死角からの攻撃に驚いた海王類は、巨体を揺らして大草原を爆走し始める。大地を揺らして走りに走り、一定の距離をとって仕切り直そうとの仕草を見せた。それでもちょこまかと動くハインと、見えない攻撃に苛立ちが隠せない海王類は背を反らせると、腹に溜めていた海水を空へと打ち上げる。
ハインは立て続けに飛んでくる巨大な水鉄砲を避けつつ安全な距離を保ち、対する海王類は距離を詰めようと走りながら唸って吼えてと敵意を振りまいた。
そこにカマイタチの一つが大気を切り裂きながら、真っ直ぐに海王類へと落ちて行く。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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