第三話 ネモエリア ページ15
先に言っておくが、政府は不都合ばかりを抱えているわけではない。
本当に危険だからと言う理由で、島への立ち入りを禁ずることも多い。例えば制圧しきれない猛獣が巣食うだとか、環境不安定だとか、感染したら治療しようのない病原菌が潜んでいるだとかだ。それらの中には、政府にとっての不都合を理由とするものあるにはあるのだが…実際、割合としては極めて少なかった。
(確かに文明は見当たらない。文明にまで発達しなかった、ただのテント生活痕だけですね。遭難かアマチュア探検家でしょうか。後者なら違法ですが、見たところ生存者はなし。なら死人に口なし、罪を背負う体もなし。)
あれこれと考えていたハインは、大空間中央にある荷物、と言うより一本の短剣にふと目をつける。しかし目を凝らすよりも先に、歩き回っていた研究者達の一人が木箱から爆薬と導線を持ち出した。ハインは僅かに眉をひそめて、そろりそろりと細道の奥に引き下がる。
三、と研究者が言う。
二、と彼らは頭を引っ込め。
一、でカチリとスイッチが押された。
(新しい通路の開通？見取り図的に…更に下層へ降りるつもりですか。どこから海水が流れ込んでくるかも分からないのに、よくやることで…。)
スイッチが押された数拍後、大空間を地揺れが襲い、爆発音がぐわんぐわんと轟く。ガラガラと岩が崩れて砂埃が舞い上がり、爆風によりテントが幾つか吹き飛ぶと、転がり出た岩に押しつぶされた。
爆発による土埃のせいで、研究者達の様子はよく分からない。しかしハインはふと顔を上げ、下層へと続くはずの新しい通路に潜む存在を感知する。
「！」
ハインは慌てて駆け出すと、驚く研究者を無視して短剣を手に取った。そのまま〈動物系幻獣種ウロボロス〉の能力者である彼女は背中から二対四枚の白い翼を出すと、頭上の裂け目へと舞い上がる。入れ替わるように未知の存在、黒っぽい巨大生物が岩陰の穴からズルリと滑り出て、叫び声を上げながら工業用ライトを倒し回った。そのまま標的は研究者達に固定され、鳴き声だろう耳障りな不協和音が大空間に木霊する。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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