上から落ちて、下から落ちて (ページ4)

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twO ページ4

「ただいまー」
「お帰りなさい、大和さん！」
陸がドアの扉を開けてくれた。
部屋の中にはもうすでに、カレーのいい香りが広がっていた。
ソファーには環とナギが座っている。
「ヤマート！今日はここなを見ましょーう！」
ナギはいつも通りだ。
「ナギっち、今日も見るのかよ...昨日も見てたじゃん」
どうやら環はナギの観賞会に付き合っていたらしい。
キッチンでは伊織、三月、壮五が食卓に料理を並べる準備をしていた。
「大和さん、どれくらい食べますか？」
「うーん、壮五と同じくらいでいいよ。」
「わかりました。環くん、コップ配って」
「あいよ」
環は立ち上がると、眠そうに歩いていった。
「ワタシも手伝いマース！」
「兄さん、スプーンはどこですか？」
「そこの引き出しの中だよ」
大和はみんなの様子を眩しそうに見ながら、部屋へ荷物を置きに向かった。

全員が食卓に揃ったときはいつも大和が号令をかける。
「それじゃあ、準備はいいか？」

『いただきます！』

「美味しい！流石、三月！」
陸が嬉しそうに言う。
「陸も練習すればすぐに作れるよ」
「じゃあ、僕も練習したら...」
「...」
壮五が発言したとたん、空気が凍った。
「そーちゃんはダメ！絶対辛くなる」
「大丈夫だよ、ちゃんとレシピ通りに作れば」
「ソーゴ、頑張ってください！」
何気ない会話を聞き流しながら、伊織が尋ねてきた。
「そういえば今日、二階堂さんはドラマの撮影だったんですよね」
「そう。あと少しで終わりそうだな」
「今回は医療系のドラマですよね、かっこいいな～」
陸がキラキラした目で大和を見た。
「まぁ医療っていっても手術のシーンには出ないしな」
「大和さんは近くの診療所の所長役ですもんね」
「そ。おまけみたいなもんだよ」
「来週から放送だよな？録画してたっけ...？」
ご馳走様でした、と三月が立ち上がりテレビの電源をつけた。
部屋が少し賑やかになると、口々に食事の終わりを告げた。
「あ、やまさん。今思い出したけど、何かやまさん宛に郵便が来てた。」
環がふと、大和に声をかけた。
「ん、どこだ？」
「コレだと思いマース」
ナギがテーブルから大小の封筒を取るとペーパーナイフと一緒に大和に渡した。
「サンキュ、ナギ」
「大和さん、もうお風呂沸いてるので先どうぞ」
「それじゃ、先に入りますか」
皿洗いとテレビの音をBGMにして、大和はリビングルームを去っていった。