孤独と自由にさよならを 15 ページ5
肩を上下に揺らし吐き出された言葉は、声は、涙の色を含んでいて。
それは、昼間見せたあの姿とは似ても似つかぬものだった。
「いや、だ……ひとりは、いやっ」
気づけば、シンドバッドはかたかたと震えるAの体を抱き寄せていた。
細く小さなその体は、シンドバッドの腕の中にすっぽりと納まっている。
「……?」
「大丈夫だ。お前を一人になんてしない。大丈夫だからな」
そう言いながら、ゆっくりとAの頭を撫でる。
やがて、Aの体の震えが止まった頃。
「……と、に……」
「……A?」
「ほんとに、ひとりに、しない? ひとりじゃ、ない……?」
見上げられ呟かれた言葉に、シンドバッドは口を閉じた。
言葉に含まれた音も、シンドバッドの服を掴む手も、どれもが縋るような色をしている。
ふっ、とシンドバッドが微笑んだ。
「ああ。俺だけじゃない、ここにいる全員がお前のことをひとりになんてしないさ。大丈夫だ」
「だい、じょうぶ……」
「約束だ」
「やくそく……」
そう言ってにこりと笑んだシンドバッドに、Aは小さく言われた言葉を復唱する。
そして安心したように微笑むと、かくんと、まるで糸が切れた人形のようにシンドバッドの胸に崩れた。
瞼を下ろし呼吸が規則正しいものになったのを見て、一息。
ぽん、と再度Aの頭に手を置く。
「……ああ。独りになんてしないさ……絶対に」
ゆらり、と灯りが揺れた。
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みかん(プロフ) - 了解しました!続きも楽しみに気長に待ってます! (2019年5月28日 13時) (レス) id: 7884fe9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» お待たせ致しました。リクエスト作品が出来上がりましたのでお伝え致します……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - みかんさん» 申し訳ありません、先に白龍の分ができあがりましたのでこちらを先に公開致します。続きはもう少々お待ちください……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» 了解です! 他のリクエストも消化しつつになるので少し遅れますが、ご了承くださいませ…… (2019年5月1日 14時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
あい - そうだったのですかこちらこそすみません (2019年5月1日 11時) (レス) id: bcb6bd7e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月1日 2時