IF if if…… 3 ページ40
要求を笑顔で一蹴され、なんでとAは呟いた。にっこりと。不気味な程に笑んだその男は、ぐい、とAの目をフードの上から手で覆って、ゆっくりと丁寧に、その甘い声を吹き込んでいく。
「言っただろう? 大丈夫だ、大丈夫。もうお前を独りになんてしない。約束したからな」
「そんなの……して、ない……」
「したさ。お前は覚えてないだろうけどな」
なんでそんなに優しく言うんだろう。そんな約束してないじゃないか。
そう思うも、言葉には出てこない。握られた手を振り解こうにも力が入らなかった。
なす術なく体を預けるしかない状態に、以前のAなら舌打ちの一つでもしただろう。けれど今となっては。それすらもできずに、ただただ今のこの現状を受け入れている。
「A」
ぼすん、ぎしっ。
気づけばAは目の前の男に押し倒されていた。どうやって、なんて分からない。
ただ紫の瞳が自分を見下ろしていることしか分からなかった。
けれど。これから何をされるか、だけは分かった。体が覚えていた。久しぶりだからといって、忘れてなんていなかった。
「ぃゃ、だ……シン、いやだ……」
「大丈夫、大丈夫だ。怖くないからな」
優しく甘い声を囁きながら、シンドバッドはAを抱きしめる。いやだ、やめて、こわい、と怯えたように、けれど香のせいで蕩けた声で呟くAは、それが逆効果だと分かってはいないようだった。
「大丈夫、大丈夫……。なあ、A。気持ちいいのは好きだろう?」
「ぃゃだっ……」
押し返そうとするも、右手は掴まれたまま、左手のみの力じゃ対した効果もない。しかも香のせいで力もろくに入らないときた。
このまま受け入れるしかなかった。
「シン、しん、いや、ん、ふ……」
落ちてきたキスは今度は唇だった。口を塞がれては唯一の抵抗もできやしない。泳がせた瞳は窓に向いた。
ぽっかり浮かんだ月は、赤く妖しく輝いていた。
「いやだ、やだ、しん……!」
「ああ、大丈夫だからな。怖くなんかないさ」
「し、ん……」
『IF if if……』
ーーー
7ヶ月です。主人公がシンドリアに閉じ込められて7ヶ月目から、腕吹っ飛ばそうとして見つかるとこんな感じになります。執着度が増していく感じですかね。
見つからなければ問題ないんですが、まあそんなこと多分ありえません。だって覇王だもの(諦め)。
なので、実は主人公が脱出できたのはかなりギリギリでした。
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みかん(プロフ) - 了解しました!続きも楽しみに気長に待ってます! (2019年5月28日 13時) (レス) id: 7884fe9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» お待たせ致しました。リクエスト作品が出来上がりましたのでお伝え致します……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - みかんさん» 申し訳ありません、先に白龍の分ができあがりましたのでこちらを先に公開致します。続きはもう少々お待ちください……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» 了解です! 他のリクエストも消化しつつになるので少し遅れますが、ご了承くださいませ…… (2019年5月1日 14時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
あい - そうだったのですかこちらこそすみません (2019年5月1日 11時) (レス) id: bcb6bd7e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月1日 2時