一緒に寝る話 2 ページ28
目を覚まして最初に見た光景はアイボリー。ぼんやりとしつつ二度ほど瞬きをして、やっとアイボリーを掴んでいると思考が認識した。
ん……? アイボリー? 掴んでいる?
…………んんん?
ぽんぽんと頭に疑問符が浮かんでいく。服を掴んでいる手に眉を顰め、口をへの字に曲げ、疑問に感じたことを掻き集めた。
ふわり、と慣れ親しんだ匂いがして、かちり、と霞みがかった思考が晴れようとした時だった。
「A」
聞いたことのある声。目を見開いて、声のする方……つまりは上を見上げる。
フード越しの先には見知った顔。愛嬌のあるそばかすに白が強めの灰色の髪。いつもこちらを見ては優しげな視線を向ける瞳は、今もその視線を僕に向けている。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
そして困ったように笑い僕に声をかけてくる彼。
思考にかかった靄が一気に吹き飛んだ。
「ジャー、ファル……?」
「はい」
「え、なん、えっ?」
「いえ、あの、私もわけが分からなくてですね……。目が覚めたらAがその……くっついて寝ていて。気持ちよさそうに寝ていたので起こすに起こせなかったんですが……」
あはは、なんて苦笑い。そう、いえば。
昨日はなんだか世紀末かよってぐらいには眠くて、でもやらなきゃいけないことがあって寝れなくて。ふらふらと覚束ない足で自分の部屋を目指したのは、あと一時間くらいで日が昇るんじゃないかってぐらいの時刻。
時間を示すものがないから具体的には分からないけれど、すごく静かで辺りが暗かったのを覚えてる。
やっと着いた部屋のドアノブを捻って開け、薄暗い部屋にあるベッドへと向かった。後ろでパタリとドアが勝手に閉まる音がした。
……きっとここで、ベッドの配置がおかしいことに気づけばよかったんだろうけど、睡眠を欲していた頭はそんな疑問を拾い上げはしなかったようだ。
いやまあ確かに「あれ? ベッドの位置変わってない?」とは思ったけど。思ったけど!
疲れてたんだよ本当に!!
布団に潜り込んで、小さく体を丸める。すると何かに当たった感触がして、けれどろくな思考回路をしていなかった僕は。あろうことかその何かを抱き枕がわりにして眠ったのだ。
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みかん(プロフ) - 了解しました!続きも楽しみに気長に待ってます! (2019年5月28日 13時) (レス) id: 7884fe9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» お待たせ致しました。リクエスト作品が出来上がりましたのでお伝え致します……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - みかんさん» 申し訳ありません、先に白龍の分ができあがりましたのでこちらを先に公開致します。続きはもう少々お待ちください……! (2019年5月28日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - あいさん» 了解です! 他のリクエストも消化しつつになるので少し遅れますが、ご了承くださいませ…… (2019年5月1日 14時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
あい - そうだったのですかこちらこそすみません (2019年5月1日 11時) (レス) id: bcb6bd7e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月1日 2時