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第36話 黒幕 ページ38

中庭での生徒暴走事件があってから、瀕死のAが意識を取り戻したのは、約3日後だった。

何時だかも分からないほど暗い夜、Aは唐突に目を覚ました。

目が覚めた時、一番に目に飛び込んできたのは、天馬の顔だった。

「A………………!?目が、覚めたのか………………!?」

それまで硬く険しかった天馬の顔が、みるみるうちに崩れていった。

Aはそんな天馬を見て、にこ…とぎこちなくも精一杯の笑顔を作る。

耐えきれず、天馬はAの手を握りしめ、額に当てるようにして声を絞り出す。

「よかった…………このまま目覚めなかったらって、すげえ……不安で……………」

そう言う天馬は、本当に疲れているような声だった。それこそ、一睡もしていないような………

「大丈夫ですよ…………天馬様…………私は………御恩を、返すまで………決して………」

子供をあやすような、心底優しい声音でAはぷつりぷつりと言葉を発する。

しかし、再びそこでAの意識は途切れた。


Aが再び目を覚ました時、島は既に朝を迎えていた。

鳩の鳴き声が妙に耳に響き、窓の外には、うっすらと水平線が見えている。

ゆっくり身を起こしてみると、天馬がいなくなっていた。


事件が事件だったから、当主としての仕事が山積みなんだろうな…………
そんな中で来てくれたなんて、本当に、頭が下がります……………すみません、天馬様……………


そんなことを思っていると、病室のドアが開いた。

「やっほー☆大丈夫かーい?心配したよ〜☆」

「陰陽頭様………………!?わざわざ、申し訳ございません………」

アロハシャツに身を包んだ有馬がベットの隣にある椅子に座ると、声のトーンを低くして話し始める。

「先日君と私闘をした子の事だけど……………勘当が決まった………。」

その時、Aは忘れかけていた事件のことを全て思い出し、話さなければいけないことがあるのに気がついた。

「お、お待ち下さい!彼女は、違うんです…………!誰かに、操られていたんです………!」

その言葉に有馬がぴくりと眉を潜める。

「……どういうことだい?それは。」

「彼女と戦っている時に気付いたんです………!当時は、彼女の気迫が恐ろしくて見落としていたけれど、彼女には、別の何者かの"陰の気"が貼り付いていたんです………だから我を失い、暴走したんです……!どうか、信じてくださいませんか……!?」


有馬は確信を得た、という表情をしていた。

第37話 無実の証明→←第35話 事件



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設定タグ:双星の陰陽師 , 鸕宮天馬 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時

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