第35話 事件 ページ37
「危ないッ!!後ろ…………!!」
誰かの声が、耳の奥まで響いてきた。
振り返ると、立ち上がっていた鸕宮家の子女は、まるでケガレのように残忍な笑みを浮かべ、数枚の霊符を取り出し、既にその一枚をAに投げつけていた。
ドゴォォン!!!
爆発音と共に爆風が吹き荒れ、Aは壁に打ち付けられる。口の中が切れて血の味がした。
まさか………あの子、本気で私を………?
いや、違う。私にはわかる………あれは、あの子自身の意思じゃないんだ……!
別の誰かが……裏で………
そんなことを考えているうちにも、相手が放った数枚の霊符は、Aめがけて飛んでくる。
しかし、避ければ他の生徒や建物にも被害が出てしまう。
よってAは、霊符自体を斬ることで、どうにか爆風を最小限に留めた。
呪装が消えかけて、いよいよ危機に迫った時、相手の少女はとんでもない行動をした。
爆発の霊符を彼女は事もあろうに、近くにいる他の生徒に放ったのだ。
Aは咄嗟に、残りの呪力全てを飛天駿脚につぎ込み、その身を挺して生徒の壁となった。
そして、相手の少女はそれを待っていたとはいわんばかりに霊符を間髪入れずに放っていく。
「あ"あ"あ"あ"ッッ!!……………」
Aが生命の危機までに迫った時、それは既に突き刺さっていた。
爆風の跡から現れたのは、紅く光る大きな剣。その剣が盾となり、Aをぎりぎりのところで救ったのだ。
「ごめんな………A……もっと早くに来てやれば、こんなことには………」
そして人の影がひとつ。剣と同じくらいに紅い輝きを放つ髪を揺らして、とてつもなく切ない声を漏らして、青年は現れた。
「おい、てめえ…………ぶっ殺される覚悟は、できてんだろうなぁ!?」
天馬は、激昂していた。その腕には瀕死のAが抱きかかえられている。
天馬は、今まで見せたこともない怒りを見せ、今にも相手の首を狩りそうな勢いだった。
「待つんだ。天馬。」
そんな声が聞こえると、数枚の霊符が、相手少女の周囲を取り囲み、強力な結界を作り出していた。
そして声の主たる土御門有馬が現れる。
天馬はAを抱きかかえたまま有馬を睨んだ。
「お前にはこうなることがわかってたんじゃねえのか。なんで止めなかった!?んん!?」
「ここ数日島で不穏な空気が漂っていたんだ。彼女は、その原因を炙り出してくれた。感謝するべきだね…………。」
天馬の手は、怒りで震えていた。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時