第19話 有馬と天馬 ページ21
時は少し遡り、一つの布団で朝を迎えた日の前日、Aの修行をつけた天馬は陰陽連の呼び出しで本部へと赴いた。
係員に案内された先は、陰陽頭専用の仕事部屋だった。
机と大きな窓しかない殺風景な部屋の中心に、今日自分を呼び出した人間は立っていた。
「有馬、なんで他の十二天将がいないんだ。んん?」
陰陽頭である土御門有馬は不敵な笑みを浮かべ、そっと目を伏せる。
「その理由は君自身がよーく知ってるんじゃない?天馬。」
「………………………キツネ子の事か。」
有馬はそうだ、とでも言いたげに口角を上げる。反対に天馬は眉間に皺を寄せた。
「あいつは何も問題はない。修行も真面目に取り組んでいる。」
「でも家出されちゃったんでしょ〜?君以外の鸕宮家の人間には未だに認められてないし。」
「他の人間がどうかなんて関係ない。あいつがこの家を選んだんだし、俺があいつを選んだんだ。」
「いや〜、仲が良くて何よりだけど、僕が言いたいのはそこじゃない。」
「どういうことだ。んん?」
俺は、有馬のこういう勿体ぶった言い方は好きじゃない。イライラする。
そもそもキツネ子がこうして腫れ物扱いされるのも気にくわない。
「………………そもそもおかしいと思わないかい?天馬。守護者が"八百万の神"だなんて。」
「何が言いてえんだ。有馬。」
有馬が急に冷たい顔になる。
「本来守護者は"陰陽師"でいないといけないだろう。それが鉄則であり、絶対だ。つまり、
彼女は"特異点"なんだ。この世界において。」
「それが何だって言うんだよ。んん?」
「"神"の力は強大だ。天馬だって見たんだろ?彼女が宇迦之御魂の力によって呪詛を祓ったのを。
そして強大すぎる力はいつか人々にとっての恐怖となり、無秩序な悪となるだろう。」
天馬は黙って聞いている。だがその拳には、ますます力がこもってきている。
「そして彼女も自分が"絶対"だという事に気付いたとき、必ず闇に堕ちる。それこそ、
石鏡悠斗とは比べものにならないレベルの"悪"に。」
天馬が我慢しきれず口に出した。
「………なら、あいつは………………いつか死なねえといけねえっていうのかよ……………!」
「…………彼女が自分の力の強大さに気づく前に、僕達の手で、ね…………。」
「ッッ!………ふざけんなよッ!………ならお前はあいつの事なんて、道具にしか思ってねえのか!?」
天馬は有馬の胸ぐらを掴む。有馬は一切表情を変えないままだった。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時