検索窓
今日:6 hit、昨日:36 hit、合計:67,253 hit

第19話 有馬と天馬 ページ21

時は少し遡り、一つの布団で朝を迎えた日の前日、Aの修行をつけた天馬は陰陽連の呼び出しで本部へと赴いた。

係員に案内された先は、陰陽頭専用の仕事部屋だった。
机と大きな窓しかない殺風景な部屋の中心に、今日自分を呼び出した人間は立っていた。

「有馬、なんで他の十二天将がいないんだ。んん?」

陰陽頭である土御門有馬は不敵な笑みを浮かべ、そっと目を伏せる。

「その理由は君自身がよーく知ってるんじゃない?天馬。」

「………………………キツネ子の事か。」

有馬はそうだ、とでも言いたげに口角を上げる。反対に天馬は眉間に皺を寄せた。

「あいつは何も問題はない。修行も真面目に取り組んでいる。」

「でも家出されちゃったんでしょ〜?君以外の鸕宮家の人間には未だに認められてないし。」

「他の人間がどうかなんて関係ない。あいつがこの家を選んだんだし、俺があいつを選んだんだ。」

「いや〜、仲が良くて何よりだけど、僕が言いたいのはそこじゃない。」

「どういうことだ。んん?」

俺は、有馬のこういう勿体ぶった言い方は好きじゃない。イライラする。
そもそもキツネ子がこうして腫れ物扱いされるのも気にくわない。

「………………そもそもおかしいと思わないかい?天馬。守護者が"八百万の神"だなんて。」

「何が言いてえんだ。有馬。」

有馬が急に冷たい顔になる。

「本来守護者は"陰陽師"でいないといけないだろう。それが鉄則であり、絶対だ。つまり、
彼女は"特異点"なんだ。この世界において。」

「それが何だって言うんだよ。んん?」

「"神"の力は強大だ。天馬だって見たんだろ?彼女が宇迦之御魂の力によって呪詛を祓ったのを。
そして強大すぎる力はいつか人々にとっての恐怖となり、無秩序な悪となるだろう。」

天馬は黙って聞いている。だがその拳には、ますます力がこもってきている。

「そして彼女も自分が"絶対"だという事に気付いたとき、必ず闇に堕ちる。それこそ、
石鏡悠斗とは比べものにならないレベルの"悪"に。」

天馬が我慢しきれず口に出した。

「………なら、あいつは………………いつか死なねえといけねえっていうのかよ……………!」

「…………彼女が自分の力の強大さに気づく前に、僕達の手で、ね…………。」

「ッッ!………ふざけんなよッ!………ならお前はあいつの事なんて、道具にしか思ってねえのか!?」

天馬は有馬の胸ぐらを掴む。有馬は一切表情を変えないままだった。

第20話 天馬の迷い→←第18話 光の中で…………



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
設定タグ:双星の陰陽師 , 鸕宮天馬 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。