【派生作品】Er und Ich. / 彼と僕。

　　（7/11記） ページ20

澪は自分で作ったオムライスを食べながら考えていた。
喉が乾いたからお酒を飲むとか、普段はフルーツばっかり食べてるとか、食べ過ぎると嘔吐するとか‥。
澪は、自分が思っている以上にミヒャエルのことを知らないのではないか‥と。

もちろん、全部知っているとまではいかない。ただ、ある程度の仲になったのだから、『暗い部分』も知りたいと思う反面、聞いてしまったら何かが崩れて、自分の中から何も残らない気がして‥。
それに、もし聞けたとしてもそれが自分には到底理解の出来ないものであれば、聞いても気まずくなるだけだ。

いくら仲が良くなったって、知らない方がいいこともある。そういうことにしておこうとした。

「(ミヒャの家に来るたびに‥こんなこと考えちゃうのかな‥。)」

そんなのは耐えられない。心の中で自問自答を永遠と繰り返す澪。聞いてしまえたら楽だろう。
ただ、聞けるだけの勇気を持ち合わせていなかった。

「澪？食べないノ？冷めちゃうヨ？」

ミヒャエルに声をかけられてビクッと体が反応する。
『ただ純粋に心配してくれているだけだ。』そうわかっていても自分の歪んだ思考のせいでミヒャエルの言葉を素直に受け取ることを許さない。抗えば抗うほどに自分の理想とは程遠い思考へと行き着いてしまう。

それもこれも全部余計なお世話でしかないのも、なんとなく察しが付いている。

それでも心配せざるをえない何かが、ミヒャエルにはあるように感じられた。

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