三十三香 ページ35
『にしても何なんですか此れは。』
まるで迷宮の様な船内を走り回る。
何故、私がこんな所へ拉致られたのか。
そして私を拐った人々は一体何者なのか。
隣で走っている中原さんの方を見ると、目が合う。
私の云った『此れ』を察したのか、少々顔をしかめながらも答えてくれた。
「あー…先ずな、手前を拉致ッたのは中国の「乌托邦」だ。」
乌托邦……中国の犯罪組織の一角。
中国だけでも凄い額の利益を得られているだろうに…もしかしたらかなり大きな組織がこのオークションの裏の手を引いているかも…。
『…判りました、其だけで十分です。』
「は?……マジでか。」
『ただ、一つだけ、お聞きしても宜しいでしょうか。』
「……嗚呼、良いぞ。」
この可能性を他に考えている人がいたとすれば。
『このオークション、日本の何処かの組織が手を引いている可能性を彼は、太宰さんは仰っていましたか?』
その人間は賢すぎる。
こんな私のように、この状況を見て、尚且つ外からの情報も仕入れてやっと辿り着いたのであれば、其れは普通では"褒められる"程度。
然し、如何だ。
「嗚呼、うちの準幹部が手を引いている傘下だ、と…。」
ほら、完璧だ。
彼は仕入れた情報だけで(何処まで調べたかは知れないが)此処迄的確に、裏まで当ててきたのだ。
そう思うと、長い間走って疲れているのにも関わらず、思わず笑いが溢れてしまう。
『…私、太宰さんの事が一段と判らなくなってきました。』
「俺だって判らねェよ。」
一寸推理しただけで、何故か謎が一つ増えてしまった。
何時か、凡てを暴ける日が来るのだろうか。
『あ、もうすぐ出口じゃないですか?』
「おッ、じャァ出た瞬間太宰の元までブッ飛ばすからな!」
そしたら、彼は何と云うだろうか。
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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね!?あれ私も大好きです!! (2023年2月16日 20時) (レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます!更新頑張ります!こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました! (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月14日 9時