え、おまえら付き合ってんの？？？【あんさん腐るスターズ！】【短編集】

零×渉×えいち←桃李【変な関係】〜楓架さんリク〜 ページ1

我輩には恋人がいる。

恋人と呼ぶ彼は『愛』を誰よりも愛した。

決して重すぎないがあたたかく、包まれるような『愛』だった。

彼から『愛』を語られるときはこれ以上ない幸せに包まれる。

そんな彼を我輩は愛した。

我輩たちは毎日手を繋ぐ。

毎日抱きしめる。

毎日キスをして、たくさん愛する。

たくさんの『愛』で溢れている。



………と聞けばただの恥知らずのカップルが作ったポエムの様だ。

いや、普通の恥ずかしいポエムの方がずっとマシだろう。

我輩と恋人との現状を嘆きながら何気なく隣を歩く薫くんに寄りかかる。









「ちょっとっ！男に抱きつかれるほどの気持ち悪いことないんだけど、てか重っ、ねぇ！なに！？」




「………暑い、バテた」




「う〜わ〜、でたよ…ほんと吸血鬼ってやだね」









バテてないと言えば嘘にはなるが、正直我輩には癒しが欲しかっただけである。

だが『癒し』のレパートリーに羽風薫を選ぶのは少し疲れているのかもしれない。









「ついた。ここが合宿先のホテルだよ。『UNDEAD』の皆、今日は後々行われる『fine』との合同ライブの合宿に参加してくれてありがとう。この合宿でより良いライブにしよう…♪」









天祥院英智。

ESが誇る『ビッグ3』の『fine』のリーダー。

………そして、我輩の恋人の恋人である。









「おい『UNDEAD』！貴様ら英智様とボクの足を引っ張ったら承知しないからな〜！」





「何だとてめえっ！」




「落ち着け大神、小さい者は傷つけるな」




「ちっ、小さいだとっ！貴様、無礼だぞ！」




「すまない、つい」









この可愛らしく毒を吐く彼は姫宮桃李。

天祥院くんが大事にしている後輩とのことだ。









「……わっ！」




「ッ？！」




「なはは！『魔王』のあなたも驚くのですねぇ…☆」




「……日々樹くん」




「はぁい。あなたの、日っ々っ樹渉でぇす☆」









日々樹渉。

我輩と、天祥院くんの恋人。

ニクいタラシというやつだ。









「零、何か要望は？すごく我慢してるでしょう、分かりますよ？恋人ですからねぇ！」




「……癒し」



「『癒し』ですね！ん〜〜〜ちゅっ！」









ちゅ、と軽く音をたてて素早く唇が離される。

すると我輩はどこかのあんパンのヒーローの様に元気が湧く。

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