占いは信じるべきか ページ10
__赤葦さん、今日本返しに来るかな__
そんなことを考えながら、私は図書室に向かおうと廊下を進む。
徐々に歩調が速くなっていく。
私は自分に言い聞かせる。
今日のシャキ朝占いの結果を忘れてはいけない。
シャキワードは廊下を走らない、だ。
そうと念じて一瞬下を向いたとき、運悪く走ってきた誰かと廊下の角でぶつかる。
1メートルほど、私は転がって廊下を後退した。
「お、おい!?大丈夫か??」
「は、はい!」
がば、と起き上がって視界に入ったのは大男。
「ひぃ!!」
だめだ、全然大丈夫じゃない。
私AA、実は男の人が少し苦手な気がありまして。
__特に身長の高い方は。
そんな私の心の内を察したのか、大男さんは慌てて床にしゃがみこむ。
「けがしてないか?」
ごめんなさい顔が近いです。
体は完全にフリーズしているけど、脳内だけは冷静に数日前の記憶をよみがえらせる。
この人、あのミミズクヘッドの__
浮かんだ記憶の断片に触発されて、失いかけていた意識がやっと戻ってくる。
あ、質問されてる。
けががないか?
けが?けが、ない。
私は頷いたけど、ミミズクさんの顔は青くなるばかり。
「な、なぁ、やっぱ、頭、あたまとか打った?」
大男ミミズクさんはずい、と顔を寄せる。
近い近い近い!
「わぁぁぁぁ」
正気に返った私は悲鳴じみた声を上げた。
だから男の人苦手なんだってばあああ
ほぼパニックになりながら立ち上がって私は廊下を駆け出した。
あぁ、なんでこんなにコミュ障なんだろ。
私はこのときすっかり忘れていた。
「わ、」
どん、とぶつかる音。
私はもう一度廊下を転がる。
「Aさん」
__今日のシャキワードは、廊下を走らない。
座ったまま赤葦さんを見上げる。
さっきの事件と思い切り走ったので混乱して咄嗟には言葉が出てこない。
「あー!あかーーし!!どうしよう、おれ__あ!いた!」
バレー部二人と、床に女子一人。
なんともおかしな図が図書室近くの廊下に出来上がった。
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はるこん(プロフ) - 無気力なおバカさん» 恋愛と関係のないシーンなので入れるか迷っていたのですが、共感していただけてとても嬉しかったです!ペースは遅いですが、見捨てないで読んでいただければありがたいです笑 コメントありがとうございます! (2020年4月15日 19時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです!!『文化祭の陰』のところの最後の「女子というのは恐ろしい」ってところものすごく共感します!!それと、赤葦くんやはりイケメンですねぇぇ。夢主ちゃんの性格もかわいくて素敵!!これからも更新頑張って下さい!!!!!! (2020年4月15日 2時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - りんごあめさん» 一話書くのに時間がかかるタイプなので、内容を褒めていただけるのはとても嬉しいです!更新がんばります。 (2020年4月4日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 初めて見ました!赤葦さがちゃんと残っていて、更に内容まで凝ってるだなんて!凄い技術ですね!これからも更新頑張ってください!楽しみにして待っています! (2020年4月1日 23時) (レス) id: e7faacb67c (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - コメント嬉しいですーありがとうございます! (2020年3月27日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるこん | 作成日時:2015年12月7日 22時