何度でも (ページ8)

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「それ、本当にブラックだったの？」

「変なこと聞くのねえ。そういう証言があるんだから、ブラックが犯人ってことになっているの。まさか、友人を殺めるとは思わなかったわ」

「友人？」

「ええ。ピーター・ペティグリュー、学生時代の友人だそうよ。それなのに、指一本を残して、骨も残らないほどにしてしまったの」

「…ペティグリュー？」

次から次へと飛び出す同級生の名前に、Aは
驚きを隠せなかった。

ピーター・ペティグリューとは特別親しいわけではなかったが、人並みに会話する程度であった。彼はよくジェームズとシリウスの少し後ろに着いていて、人気者の2人とはまあ正直見合わないな、といった人だった。

「…そんなことしないよ」

「ええ？Aは不思議なこと言うのねえ」

母はふふふと笑って「ほら、食器運んでちょうだい。洗っちゃうから」と席を立った。
Aは適当に「うん」と返事をして、新聞の中のシリウス・ブラックを見つめた。

“おい、ミシェル、ミシェル！なあ、────”

最期に見たブラックの姿を思い出す。彼は必死に名字を呼んでいて、綺麗な顔はなぜか歪んでいた。

その続きに、彼はなんと言ったのか。

彼の顔も、声も、背後に広がる背景も、血の匂いも、背中に感じる地面の冷たさも、全てを覚えているのに、その続きだけが思い出せなかった。