何度でも (ページ30)

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「ハリー。今良い？」

Aはハリーの座るソファの前に腰掛けた。
ハリーは「うん」と言ってAに向き合う。

「調子はどう？」

「うーん、まだ課題のヒントが解けていなくて」

「苦戦しているみたいね。何か私も手伝えたらいいんだけど」

「ありがとう、A。それで、何の用事？」

「…ああ、ごめんね。回りくどかった」

ハリーは、Aが特別用事があって話しかけてきたことに気が付いていた。
普段の雑談で、Aが「今良い？」なんてかしこまって話しかけてくることはないので。

Aは周囲を見渡すと、近くに人がいないことを確認し、ハリーに顔を近づけて話した。

「…マッド・アイ・ムーディーに、気を付けて」

「えっ？」

ハリーは驚いた。

マッド・アイことアラスター・ムーディーは、彼が課題に行き詰っている時にアドバイスを与えた人物だ。
そんな、自分をサポートしてくれる教師を、どうして警戒しなければならないのか。ハリーは顔をしかめる。

しかし、Aは言葉を続けた。

「彼と、2人にならないで」

「どうして？」

Aはハリーの双眸を見つめる。エメラルドが揺らいだ。
ああ、本当にリリーにそっくりだな──。

「…どうしても」