何度でも (ページ14)

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リーマス・ルーピンという男は、かわすのが上手な男だった。

「これは私の予想なのだけれど」

ルーピンが仕事に復帰して数日後、Aは話がしたいと持ち掛けた。すると、せっかくならお茶でもと、彼は二つ返事で承諾してくれた。

2度目となるお茶会、Aが先日ホグズミードで購入した茶葉を持ち寄れば、ルーピンはまたAの好きなクッキーを出してくれた。そのクッキーを1枚つまむと、Aは再び口を開く。

「彼は、動物もどきなんじゃなくて？」

「…と言うと？」

ルーピンはティーカップを机に置き(ソーサーはなかった)、一息置いてから尋ねた。

「犬を見たの。黒くて大きな犬よ。最初は迷い犬かと思ったの。でも…ホグワーツに犬が迷い込むかしら？」

「迷い込まないだろうね。でも、それがブラックだという根拠もない」

「…似てた」

「似ていた？」

「目が、なんだか似ている気がしたの。それに…それに彼、よくローブに犬の毛を付けてた。当時付き合ってた女の子が犬アレルギーで嫌がっていたから、よく覚えてる」

Aは今でも覚えている。当時ブラックと付き合っていた、レイブンクローの同級生だ。彼女は犬アレルギーで、ブラックのローブに付いた黒い毛を見つけると、「私、犬は嫌いなの！」と廊下の真ん中で彼を振ったのだ。

それで、Aを見つけたブラックは、「犬の何がいけないんだよ、なあ？」とだる絡みしてくるのだ。それを見た彼女、否元カノは、わっと泣いて去っていった。こちらからすれば、大きな迷惑である。

それが嫌で、それで、よく覚えている。彼は黒い犬の毛をよくローブに付けていた。

「あなたなら…知っていると思ったのだけれど」

「少なくとも、その黒い犬に会ってみないとわからないな。また出会ったら教えてくれ」

「…そうね。ごめんなさい、急に」

2人はティーカップを再び傾けた。それ以上、ブラックの話題を口にすることはなかった。