何度でも (ページ13)

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Aは大広間の隅に、1人で寝袋を敷いて今宵の寝床とした。周りに友人はいなかったから、Aの頭の中はブラックでいっぱいだった。

眠れぬ夜を明かし、翌朝、朝食のテーブルはシリウス・ブラックの話題で溢れていた。

「どうやってホグワーツ城に侵入したんだろう？」

「姿くらましだよ」

「ホグワーツで姿くらましは出来ないわ」

「植物に変身できるに違いない」

どんどん膨らむ噂を右から左に聞き流し、Aは砂糖をこれでもかというほどに入れた紅茶を、ティースプーンでひたすらかき混ぜていた。

「Aはどう思う？」

シェーマスが問う。

「…さあ」

寝不足で食欲が湧かないAに、ディーンが「ヨーグルトだけでも」とスプーンを口に突っ込んだので、Aはおとなしくそれを飲み込んだ。口の中にさっぱりとした酸味が広がる。

それをのどの奥に流し込むようにして、Aは砂糖たっぷりの紅茶を一気に飲み干した。糖分を摂取したことにより、だんだんと頭がさえてくる。

「ハンナは花の咲く灌木に変身できるって言ってた」

「じゃあそこらの灌木全部伐採してきたら？」

Aは呆れて返す。ブラックが灌木に変身なんて……変身？