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ドラコは走った。
Aと逢うとなれば、思い当たる場所は1ヶ所しかない。あの庭園だ。
スリザリン寮は地下にある。残念ながら、あの庭園とは距離があった。ドラコは息を切らして走った。
“私、時間を守れない人、好きじゃないわ”
幼少の頃、ドラコが一度だけ約束の時間に遅れた際、彼女がそう言ったのを、彼はずっと忘れずにいた。それ以降、彼は時間を必ず守るようにしている。
好きな女の子には、嫌われたくない。
「っ…A!」
花園の中央に佇むAを見つけ、叫ぶ。
彼女が振り返れば、青いスカートと長いブロンドヘアがふわりと広がった。
月に照らされた彼女の姿は、ひどく美しい。
「…ドラコ。まさか、来てくれるだなんて思わなかったわ」
呼び出したのはAの方だと言うのにも関わらず、彼女は大きく目を見開いた。
「あんなに、分かりにくい、伝え方しなくても、良かっただろう」
ドラコは息を整えながら言う。メモでも渡してくれれば、ドラコだってこんなに走ることはなかったのだ。
「だって、こっちの方がロマンチックじゃないの」
…ああ、彼女はそういう人だった。まあ、そういうお茶目なところが可愛いのだけれど。グリーングラスがいなかったら、どうなっていたか。
ドラコはダフネに感謝した。
「それで、どうしたんだ?何かあるんだろう?」
「…会いたかっただけ、って言ったら…怒るかしら?」
頬を赤く染め、照れ臭そうにAは答える。
…ドラコは頭を抱えた。
僕の許嫁がこんなにも愛おしい。
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Alice(プロフ) - ダンスの誘い方やばすぎです!!もう深海さんの書き方好きすぎます!命がいくつあっても足りません(*´ཫ`*)このふたり永遠に幸せになれ! (2023年3月1日 13時) (レス) id: fa4665eb65 (このIDを非表示/違反報告)
ありもぎ - ヤバいです!私の心臓がもたないぐらいドッキドッキしてました!最高です!この作品に出会えて本当に良かったです! (2022年3月28日 21時) (レス) @page42 id: 2f0ff669f2 (このIDを非表示/違反報告)
エマ - 読む手がとまらなかったです、、感動しました。深海さんが描くドラコの姿が本当に大好きです。 (2022年3月25日 18時) (レス) @page47 id: 6cc22acf6a (このIDを非表示/違反報告)
たにぴこ - 深海さんの書くマルフォイとの作品がこの作品に限らず大好きです。少し頼りないマルフォイと上品で芯のある主人公が大好物過ぎて最高です!!応援してます! (2022年3月6日 17時) (レス) @page1 id: eef41b04d0 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 夢主とマルフォイの立ち位置が決まっていた理由までしっかりしていてもう本当に素晴らしいです…泣 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 01ce421b84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:深海 | 作成日時:2020年11月12日 1時