ロイヤルミルクティー ページ7
両手に大量にぶら下げた様々な店の袋。その上で両手で抱えてもまだ足りないぐらいの沢山の購入品は、銃兎が回収してしまって。
彼が大量の荷物と共に姿を消したかと思えば、あっという間に戻ってきた。それもその日、彼が持ってきた荷物だけを抱えて。颯爽と。
「何処にやったの?」
「サービスの奴に預けてきた。車まで届けてくれるらしい。」
「鍵は?」
「帰りにそいつの所に寄ったらいいんだとさ。」
「そう。」
こんな会話を終えてから歩みを進めた彼に着いて歩けば、小洒落たカフェに辿り着く。
そういえば昔から気障な人だったな、と感心していれば、彼が満足げな笑顔(したり顔、の方が正しいかもしれない)で私の手を引いて店内へエスコートする。
「ご予約の2名様で宜しいでしょうか?」
「はい。」
其なりに人気らしい此処には予約制度があったらしい。
手早く済ませていた彼は、待ち相席のベンチで屯する人達を尻目に私の手を握ったまま堂々たる態度で店内に入っていった。
「珈琲とロイヤルミルクティー、あと例の木苺のタルトを。」
「畏まりました。」
私が目移りしながらメニューを眺めている間に、銃兎は私の分まで注文してくれた。
「木苺のタルトなんてあったの?」
「お前の好きそうなのだろ?」
「ん。有り難う。」
「裏メニューだから。感謝しとけ。」
またこいつは悪徳を重ねたのか、と呆れながらも感謝をする。
「端から、脅したって決めつけんな。」
「……よく考えてること分かったね。」
「定員に彼女と仲直りするため、つったら好み聞かれて。あれよあれよという間にこうだ。」
そう、と簡潔に返事をしたのは照れ隠しで。
運ばれてきたロイヤルミルクティーに口を付けた。
「あ"?」
スマホの着信音に苛立たしげに声をあげた彼は、宛名を見た途端、ギクリとした顔になる。
「悪い、席開ける。」
え、と声を出すまでもなくするりと店を抜け出した彼は、手荷物までもを取っていってしまっていて。
嫌な予感がするなぁ、と木苺のタルトにフォークをいれる。
数分後、彼から送られてきたメールはこうだった。
【荷物は後で家運ぶから。電車かなんかで帰ってくれ。】
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作者名:秋霖時雨 | 作成日時:2018年12月10日 18時