人魚姫に貢いで良いですか？【太宰治】

19：蓋をするのは人魚姫のため ページ19

彼女が私に好きと言えば…私はその言葉を塞ぐと思う。言葉ではぐらかすだろう。
だから私を好きにならないで…。想っているのは私だけで十分だから…。ポートマフィアの五大幹部…太宰治の彼女…それだけで狙われる可能性があるし、命の危険にさらされることになる。
一般人の彼女を巻き込むわけにはいかない…。好きだからこそってところが1番なんだけどね…。




経歴も手も何もかも汚れた私が触れて良い存在ではない…、それは私が1番分かっていることだった。だから、今の関係を壊したくないんだ…壊すことが怖いから…。
彼女にはちゃんと幸せにしてくれる、私のような汚れてしまった人間じゃなく、同じ一般人の良い男となった方が良い。それが彼女の幸せだと思う。
だから私の想いは貢ぎたい養いたいと言う言葉に隠して、秘めておくんだ。




彼女の幸せを願うなら…彼女が好きなら…大好きなら…愛しているなら…、私は想いながら身を引くつもりだよ。引いてるつもりだ…、だって彼女に好きな人ができたら…私はただの他人になるのだから…。




「治さん治さん…本屋に…行きたいです。」

「じゃあたくさんの本がある、ヨコハマ1の大きくて品揃えの良い本屋さんに行かなきゃね！！連れてってあげよう！！」




今はこの関係を楽しみたいんだ…。この関係の幸せを感じていたい。今を…大切に大事にしたいんだ…。この関係を大切に大事にしたいんだ…。




「わぁ…本がたくさん…たくさんある！！」




Aちゃんはホントに本が好きなんだね。そっかそっか…じゃあ今度たくさん本がある場所へ連れてってあげるね。
だから今は今以上の関係なんて望まない。ただ、彼女のそばにいられて、貢げて養えられたらそれで私は満足だ。



「治さんありがとうございます…。」

「君のためならお易い御用さ！！」




これが私の幸せだから…。

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