ママがいない理由【太宰治】

26：大丈夫 ページ26

「なんでパパ泣いてるのー？」

「悲しいのー？」

「いや…違っ…うよ…。淋しい理由じゃないんだ…。」

「どーしたのー？」

「パパー？」

「太宰…？大丈夫…？」

「大丈夫だよ…大丈夫…少しだけ…安心しただけだからさ…。」




コチラを辛そうに不安そうに見つめるA。




「頑張ったね…よく頑張った…。ツラい思いさせてゴメンね…。」



そう言って私に触れるA。




もうそこにはいないのに…この世にはもういないのに…温もりを…Aの温かさを感じた。



「ありがとう…そしてゴメンね…。」




2人とも何かがプチンと切れたかのように泣いた。




「パパ大丈夫ー？」

「大丈夫ー？」

「あぁ、大丈夫だよ。」

「有愛と侑をココまで育ててくれてありがとう。ホントにありがとう。」

「これからも…頑張るからね…。」

「うん…頑張って…パパ。」

「あぁ…もちろんだよ…ママ。」

「これからも見てるから頑張ってね。それじゃあ私は行くね。バイバイ。」

「うん、またね。」





サラサラと消えるAを見てると




「ママ泣いてたの？」

「パパ？」

「うん。2人が成長したの見れて喜んでたよ。嬉しくて泣いてた見たい。有愛と侑にも見えたかい？」

「うん！！」

「見えたよ！！」









見上げた晴れた空は澄んだ雲が何一つない綺麗な青空だった。

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