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850年___
今年の訓練兵の出来を見に訓練所へ向かった。
兵団は慢性的な人員不足だから少しでも見込みのある子を見つけておかないと。
森の奥へ進むと訓練兵を見ていた懐かしい背中を見つけ隣に並んだ。
「シャーディス団長。」
「よせ。もう私は団長じゃない。」
「すみません。シャーディス教官。お久しぶりです。」
「ああ。もう5年か。」
「そうですね。」
「エルヴィンはどうだ。」
「相変わらずです。難しい顔して席に座っています。一体何を考えているのか隣にいる私ですら分かりません。」
教官がフッと笑う。
「そうか。Aもエルヴィンと仲良くやっているか。」
「はい。おかげさまで。」
私から目線をはずし訓練兵の方を眺めた。
「…あいつは住民や部下からの信頼、権力、そして好きな女。全て自分の物にできたのか…。」
ボソッと言った声は小さかったけれども耳に届いた。
しん…と静まりかえり
私達の間を風が通り抜けた
「ああ。すまない。何でもない。…今日はどうした?ここに来るなんて珍しいな。」
「今年の訓練兵の出来を見に来たんです。どうですか?」
「今年はセンスが良い者が多いぞ。トップ争いが高レベルだ。ちなみに今年の1位抜け多分あいつだな。」
指を指した先には2人の男の子と話をしていた女の子。
「へえ。女の子ですか。」
「そうだ。座学はまあまあだが立体機動は申し分無い。すぐ戦力になるだろう。名前はミカサ・アッカーマン。」
「アッカーマン…。」
私と同じ姓。
お父さんはもう人数は少なくなってしまったと言っていたけど、こんな所で会えるとは…。
「どうした。」
「いえ。何でもありません。情報ありがとうございました。」
「エルヴィンにもよろしく伝えてくれ。」
「了解です。」
ミカサ…。あの子もきっと苦労したんだろうな。
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作者名:じゅく子 | 作成日時:2019年8月14日 21時