Scene39 久しぶりの笑顔 ページ39
「喜んで！」
Aの笑顔がぱっと咲いた。どんな花よりも美しいだろうと、シュウは思った。
「ねえ、もう一回していい？今度はちゃんとさ」
「うん…！」
シュウは唇をAのそれにそっと触れさせた。恥ずかしくてそう長くはいかなかったけれど、最高のひとときだった。この広い世界に、シュウとAの2人だけが生きているような、そんな気持ちがした。
「あ」
唐突に後ろから聞こえた声に2人は振り向いた。そこにはフブキとAの両親が立っていた。さっきの声はフブキのそれだった。彼は病院のロビーでAの両親と会って、Aの目覚めを知って駆けつけてきたのだった。
硬直していると言っても過言ではないフブキとAの父親とは裏腹にAの母親はおもしろそうに2人を見ていた。
「すみません、邪魔したみたいで…」
フブキは顔を少し赤らめて2人から目をそらした。
「ふふ、フブキ君もおいでよ」
Aはおかしそうに笑ってフブキに手招きした。
Aと2人でしていたことを見られたかと思い少しぎこちない態度になったシュウにも、Aは笑って言った。
「え？シュウ君、妬いてるの？」
「違う！」
少し拗ねたように顔を背けた。フブキはAに笑みを見せた。
「Aさん、手術成功おめでとうございます」
「ありがとう。フブキ君たちが待ってくれてたんだよね。すごく嬉しい」
それからフブキは思い出したように言った。
「そうだ、あの花______」
フブキが指したのはあの枯れた鉢植えだった。
「先日、売っている花屋さんを見つけたんです。そこのご主人に聞いたら、あの花は人が受けるダメージを代わりに受けてしおれていくって信じられているんですって。だからあの花が枯れたのはAさんの負担を一身に背負ってくれたからじゃないかな」
そんな言い伝えが本当である根拠などどこにもない。ただ、それでもいいから嬉しいような気がした。
「いや、2人ともありがとう。毎日通ってくれて、びっくりだ。こんな良い男、そうそういないよ」
「もう、お父さんったら！」
満足そうに余裕のある笑みを浮かべる父親。安心と喜びに満ちた顔をしていた。
「でも素敵よね。難しかった手術がうまくいって、無事意識も戻って。あのお花の力も、あったのかしらね」
Aの母親もにこやかに微笑んだ。
久しぶり見たAの笑顔は、この世のどんなものよりも輝かしく華やかなものだと、シュウは思った。実際、彼女の笑顔はとびっきりに美しかった。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
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通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (
レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます！少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです！ (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね！そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！！！フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります！私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
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